目 次
FCオーナー時代に知り合った中華店FCオーナーの店を訪問したところ・・・
今回の記事は私がFCオーナーだった頃の経験談です。
私はある交流会で、中華料理店のFCに加盟しているというオーナーの方と知り合いになりました。
そのオーナーは売上がなかなか伸びないことに悩んでおり、一度来店して気付いたことを指摘して欲しいと頼まれましたので、協力することにしました。
店舗は関東の某県、大型幹線道路に接しており、立地も店構えもまずまずです。
店舗の内装や接客レベルも特に問題なし。
注文した料理も直ぐに出てきました。
つまりここまでは合格だった訳です。
チェーン店の直営店と味比べした結果・・・
で、注文した料理も前菜までは問題なかったのです。
が、次に出てきた炒め物料理が、豆板醤が利きすぎている、率直に言えば辛過ぎるように思えて仕方ありませんでした。
その次に出てきた牛肉を使った料理も、やはり豆板醤がかなり主張しています。
「激辛」とまでは言いませんが、自分にとっては不快なレベルでした。
もしこの店舗がマニュアルどおりの規定に従って豆板醤を使用していたなら、チェーン店全体の味付けに問題があることになります。
後日、直営店を訪問し、同じメニューを注文し食べてみることにしました。
直営店はFC店と比較すると大変繁盛しており、出された料理は実に美味で程よい辛さであり、豆板醤が主張し過ぎているといった感想にはなりませんでした。
これでどうやらFCオーナーの店舗が、マニュアルを守っていない可能性が高まりました。
そこでチェーン店の本部に「加盟を検討している者だ」と偽り、調理マニュアルの基準について尋ねてみたところ、料理に使用する調味料はグラム単位で詳細に規定されているとのこと。
しかも調味料の量には、相当こだわっていることも伝わってきました。
更に、飲食店専門の某口コミサイトでどのように評価されているかについて調べたところ、直営店は平均星4で絶賛する声が圧倒的に多かったですね。
一方FCオーナーの店舗は平均星3を少し切っており、絶賛する声が一部である一方、私同様「料理が辛い」と評価する声が数多く確認できました。
規定と異なる味付けを指摘したら・・・
この結果を踏まえ、FCオーナーにお会いし、豆板醤についてマニュアルに定められた規定量を守っているか、豆板醤を使いすぎていないかと指摘しました。
すると明らかに怒りをぐっと堪えているのがわかる様子で、このようなことを言われました。
●あなたは中華料理が何たるかをわかっていない
●直営店の味付けは本物とは言えない
●豆板醤は私の舌で何度も確認した結果、今の分量に辿りついたものだ
●私は決して間違っていない
このオーナーは、味に関する指摘を受けることは全く想定してなかったようです。
一方味については一番自信を持っていただけに、私からその点だけだめ出しを受けたことに相当立腹されたのだと思います。
私は確かに中華料理そのものに、深い造詣がある訳ではありません。
しかし直営店と比較した場合に明らかな味の違いがあり、しかもその違いに対しお客様は明確に「ノー」と言っている事実もあります。
何よりこのオーナーがいけない点は、FCの核となるマニュアルの規定量を無視し自分の舌を店舗の味として優先したことです。
これは中華料理云々以前に、フランチャイズに加盟する意味と意義を損ねる行為であり、決して褒められたことではありません。
その後繁盛店に生まれ変わった!
それだけに指摘したことに耳を傾けてもらえなかったことは残念だったのですが、実はこの話には後日談があります。
オーナーとお会いして1週間程度過ぎたところ、再び連絡を頂きました。
「大人気ない対応して本当に申し訳ありませんでした」とお詫びの連絡と共に、改めて数名のスタッフに味に関する自分の対応についてどう思っているか、尋ねてみたそうです。
すると
「豆板醤を入れろ、入れろと口うるさいオーナー」
と陰口を叩かれていることを知ったと言います。
また規定量を守らないことで、アルバイトの士気まで下げていたことを大いに反省したようです。
以後味付けには一切口を出さず、マニュアルの規定量に従った調理方法に徹底することを確認し合ったとのことです。
・・・・・・・で、それから三ヵ月後に店舗を訪問したら、前回が嘘のような繁盛ぶりとなっていました。
豆板醤の分量をマニュアルどおりにした・・・
たったこれだけで、不振店が繁盛店に変わったという嘘のような話ですが、これは一部を除き全て実話です。
中華料理に限らず、たった一種類の調味料の加減だけで売上が激変してしまうことはあります。
だからこそ、フランチャイズチェーンとして定められた味付けが「自分の舌」では物足りなかったとしても、規定量を無視してはならないのです。
例え飲食業界のキャリアが豊富な方であっても、フランチャイズに加盟するなら
「これぐらいのことなら」
という感覚はご法度です。
「自分の方が良くわかっているから」
という感覚も大敵となることを、ぜひ理解しておいて欲しいと願います。