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「今後10年程度でなくなる仕事」とは
英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が論文で発表した
「今後10年程度でなくなる(と予測される)仕事」
が話題を呼んでいます。
「なくなる」というのは正確には仕事そのものがなくなるという意味ではなく、人工知能(以下AI)や産業用ロボットがそれらの仕事を担うことで
「人の仕事ではなくなる」
という意味です。
統計学的解析から導き出したところ、現在の職業の4割以上、米国にいたっては90%以上がなくなるそうですが、私見としては「統計解析手法としては正しいかも知れないが、現実がそのとおり全てゆくとは限らないと思います。
90%以上という確率が現実的とは思えない理由
少なくとも90%以上というのは理論値に過ぎず、現実的にはその半分以下と評価しています。
例えばなくなると指摘されている仕事に
「プロスポーツの審判」
という仕事が含まれています。
確かにプロスポーツの審判を見渡した場合、競馬の着順判定など、人間ではなく機械に基づいた判定が取り入れられている例がすでにあります。
10年後どころか現在の技術でも、かなりのプロスポーツの審判業務はハードへ代替可能だと思われます。
しかしながら、例えばサッカーのイエローカードやレッドカードといった判断は機械的な判定は困難であり、人間によるエモ-ショナルな判断が必要になります。
そうした判定領域については、10年程度の進化でAIに取って代わると考えるのは難しいのではないでしょうか。
また、この論文は顧客ニーズという重要な視点が抜けています。
例えば大リーグではジャッジを巡っての監督と審判のぶつかり合いも、観戦上の楽しみの一つになっています。
このシーンはそれぞれがプロとしてのプライドと感情をもった人間同士の対立だからこそ、観客はエキサイトする訳です。
それが機械判定に置き代わり、そうしたエキサイトなシーンが見られなくなれば、お金を出してくれる観客の楽しみの一つを奪うことになります。
つまり技術的には可能であっても、プロスポーツはビジネスとして「顧客ニーズ」に応える必要がありますので、それに背いてまで全てをAIに置き換えようとは当面ならないと予見されます。
逆に顧客ニーズが積極的にAIを求めている領域もある!
・・・・・・・ただし、現在必要とされている審判の数がそのまま必要かと言えばそうとは言えません。
先程例を上げた競馬着順に代表されるように、例えばライン上なのか、内側なのか外側なのかといった絶対基準が求められる領域では、ミスを犯す人間より機械的な技術による精密で公平な判定を求める顧客ニーズも顕在化しています。
野球だけでなく、バレーボールなどでもビデオ判定が取り入れられるようになったのは顧客ニーズという外圧があったからです。
つまり、審判という仕事が全てAIやロボットに10年程度で全て置き換わることは極めて考えにくいものの、現在の審判数を100としたら、10年後に必要とされる数は50あるいは30ぐらいになってしまう可能性は十分あると言うことです。
さて、マニュアルをベースに運営されるFC店舗は長期的な視点においてAIや産業用ロボットの活用は、絶対にさけて通れません。
FCの根幹は「オペレーションの標準化」です。
標準化されているオペレーションほど、仕事の中で最も機械化しやすいオペレーションはないからです。
審判の事例に代表されるとおり、置き換えられることを前提として、どの部分からAIやロボットに置き換えてゆくべきなのか、顧客ニーズを踏まえた上での検討と対策が今後必要になってきます。