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標準出店資金が2千万という場合、いくら用意すべき?
FC店舗出店時には予想外な出費があれこれかさむものです。
そのため、仮に2千万が標準的な出店資金となっているFCに加盟する場合、2千万の資金を調達すれば十分、とは残念ながら言えません。
この場合の2千万は
「なんとか開店まで漕ぎ着けることができる”かも知れない”ギリギリの予算」
と考えた方が良いです。
FC加盟希望者の方から資金についてアドバイスを求められた場合、フランチャイザーが目安としている出店資金の最低2割増を必要予算と考えるようアドバイスしています。
仮に2千万が目安なら、最低でも2千4百万は用意しておきたいところです。
自己資金が少ない場合の頼みの綱=リースだが・・・
ところが、資金力が潤沢な企業でもない限り、2千万以上の金額を全て自己資金で準備しているという方は少数です。
これまでの経験で多く見られるパターンとしては
自己資金が500万~700万、
700万~1000万ほど公庫をはじめとした金融機関からの融資で調達、
不足する分は償却資産をリースでまかなうといった構成です。
2割の資金が追加で必要になったからといって、自己資金や融資は簡単には増やせません。
資金が不足した場合には、金融機関の融資より審査が緩いリースの利用額が増えることになります。
御承知の方も多いと思いますが、近年では出店費用をほぼ丸ごと面倒見てくれるリース商品も登場しています。
また、加盟の大きな障害になる資金不足の問題を解消するべく、フランチャイザーがリース会社と組んで店舗造作費や什器備品の殆どの費用をリースで出店する方法を提案してくれる場合もあります。
そうしたリースを利用すれば、自己資金がわずかしかない方でも店舗を持つことが可能にはなります。
しかし、リースを銀行融資と同じと考えて良いかというとそうは言えません。
■リース料率2%と銀行融資利率2%は全く異なる!
一番の問題はリース料率です。
リース料率が仮に2%・7年間で100万円の什器備品に対しリースを組んだ場合、月額リース料はシンプルに2万円となります。
わかりやすい金額ですが、総額では2万円×84ヶ月で168万円にもなります。
一方、100万円を金利2%で融資を受けて7年で返済した場合、利息を含めた返済総額は約107万2千円です。
つまり100万円・2%という数字だけは同じであっても、7年後には60万円以上もの差になります。
これが仮に500万となれば約300万の差、1000万となれば約600万の差になります。
リースを利用することで出店時に不足する資金をカバーできたとしても、低利融資の場合と大きな金利差が生じることは理解しておく必要があるのです。
■リースを使っても良い場合とは
「絶対にリースを利用するな」とまでは申しません。
リースには
・会計処理がしやすい
・費用を平準化できる
といった会計上のメリットがありますし、何よりキャッシュを手元に温存できるメリットもあります。
ただ、そうしたメリットを踏まえたとしても、総額支出が過大になってしまうのは大きなデメリットです。
安易に利用すべきではありません。
やはり堅実な方法は出来る限り余裕を持って自己資金を貯めること、不足分は公的な低利融資制度を出来る限り利用すること、そして最後の手段としてリースを利用するという順番を遵守することです。
その上で、私が大胆にリースを利用しても良いと認めるケース(「すすめる」という意味ではありません)はあります。
参考まで主な条件を御紹介しますと
●2店舗目以降の出店時であること
●既存店舗はすべて黒字経営であること
●年間リース料および既存店の年間返済額の和が黒字店舗(1店舗のみ)の年間営業利益の1/2以下であること
この他にもいくつか細かな条件(例えば人材が育っている等々)がありますが、その点は手短にお伝えすることが困難なため割愛します。
もしリースを大胆に活用したいなら1店舗を成功させた上で、2店舗目以降で検討するようにしましょう。