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収支予測に対しFC本部が負うべき責任
フランチャイザー企業の皆様、皆様は加盟候補者の方々に対して収支予測を提示される場合、その予測についてどんな責任を負われているのでしょうか。
「責任」と言う言葉を使ってこのように尋ねると、残念ながら一部の優秀なFCを除き、だいたいこのような返事が返ってきます。
「収支予測はあくまで予測。責任など持てるはずがない。」
では何のために収支予測を提示しているのでしょうか。
「加盟候補者の方々に夢だけ見させ、騙して加盟させるためですか。」
と厳しい口調で突っ込みを入れると
「ビジネスなんて最終的にはやってみないことにはわからない。
先々のことを的確に見通せるなら誰だって苦労しない。
それがビジネスだ。そんなこともわからないのか!
突然地震が起きて店舗が倒壊するかもしれないし、車が突っ込んでくることだってあるだろう・・・・
加盟者自身が重大なミスを犯せば、売上が回復しないことだってある。それに・・・・」
とご立腹されながら
「こんな場合もある!あんなことも考えられる!」
と、実にたくさんのエクスキューズを散々聞かされることになります。
収支予測の否定はフランチャイズの否定
別に意地悪を言っているつもりはないのですが、多くのフランチャイザーにとって「収支予測」はあまり触れられたくないテーマであることは間違いなさそうです。
直営店オンリーであれば、出店時における収支予測についてとやかく言うつもりはございません。
しかし、フランチャイズビジネスを展開されるなら、収支予測についても一定の責任が伴います。
何ら責任を負わないと言うのは、フランチャイズ自体を否定することにもなるのですが・・・・
その点を理解されていないフランチャイザーが多いことを、大変憂慮しています。
同時に、収支予測に対する甘い見識が、フランチャイズビジネスに対する悪い印象を招いている原因にもなっています。
できるだけ早く、こうした見識は改めて頂きたいと切に願っています。
「オペレーションの標準化」の意味と収支予測の関係
フランチャイズの要とは「直営店で培ったオペレーションの標準化」にあります。
では標準化するオペレーションに期待されるものとは何でしょうか。
それは(一定の資質を備えた人材が一定の訓練を受ければ)
「”成功”という結果が必ず出せるオペレーション」
でなければならないということです。
例えば
・道を歩いているお客様にこのような方法で声をかけて、このような順番で商品を説明して商品を売る・・・
で終わってしまうと、単なる売り方の標準化に過ぎません。
”フランチャイズビジネスにおける標準化”とは言えないのです。
・道を歩いているお客様にこのような方法で声をかけて、このような順番で商品を説明すれば商品が売れる
という「結果」が伴うオペレーションを標準化することがフランチャイズです。
収支予測は100%である必要はない
勿論「売れるという結果」は「100%」である必要はありません。
率が高ければ高いほど良いに越したことはありませんが、5人に声をかけたら1人には確実に売れる売り方でも、100人に声をかけたら1人に確実に売れるということでも構わないのです。
高かろうが低かろうが一定の確率で「必ず売れる(=成功する)」という結果が得られることに、大きな意味があります。
加盟を検討している方がその率が高いと思えば加盟しようと積極的に考えるでしょうし、低いと思えば加盟を見送るでしょう。
高いか低いかの判断や評価は、加盟を検討している方々の自主的な判断に委ねられるだけの話です。
また、成功率には一定の許容範囲があっても構いません。
成功率を10%と予測していたところ、加盟店の実績が8%程度だったとしても、その程度であれば許容範囲と言って良いでしょう。
「やってみなければわからない」はFCではない
先述のような許容範囲も前提に、よほどのことがない限り大変高い確率で結果が伴うのがフランチャイズビジネスです。
やってみなければわからないというのは、フランチャイズビジネスではありません。
収支予測に誤差が生じても、最悪マイナスN%以内に収まるといったことを自信を持って言えるよう
「成功できるオペレーションの標準化」
を確立するのがフランチャイザーの役目であり、資格でもあります。
その上で、万一その予測が大きく外れたら、何らかの救済措置を講じるべきです。
何も「売上保証」だけが責任のとり方ではありません。
例えば直営店の有能な店長を一時期無償で派遣し、売上のテコ入れをはかるなど、方法はいくらでもあります。
それぐらいの覚悟をもって収支予測を提示し、フランチャイジーを支援する覚悟がなければ、フランチャイザーとして失格です。