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直営店は「模範店」で満足してはダメ
フランチャイザーにとって直営店は、模範店であり続けなければなりません。
が、模範店であることに満足していてもいけません。
この点が大変難しいのですが、直営店は実験店、チャレンジ店という役目も負わなければならないのです。
フランチャイザーはチェーン店が存続できるよう、新しい商品やサービスを提供し続ける必要があります。
新商品や新しいサービスが必ず成功するとは限りません。
この点は経営の定石どおり、PDCAサイクルにおけるトライ&エラーの繰返しを覚悟する必要があります。
■新商品投入は店舗オペレーションを悪化させる場合も
しかも新商品を投入する場合の大きなリスクとなるのは、現場に新しいオペレーションを持ち込むことです。
新しいオペレーションは、現場スタッフのオペレーションにかなりの負荷をかけることになります。
店舗オペレーションに混乱が生じることで運営レベルが低下し、売上下降を招いてしまう場合もあります。
かなり無理があるオペレーションを強いられたら、パートやアルバイトの方の離反を招く可能性すらあります。
しかしそれをおそれて現状維持に逃げ込めば成長は望めません。
そうしたリスクもふまえて、チャレンジし続けなければならないのです。
新商品やサービスをFC加盟店へ提供するタイミングとは
さて、ここまでは正論として特に異論はないでしょうが、問題は新商品やサービスをどの段階で加盟店舗へ提供するかということです。
絶対にやってはいけないことが、直営店でテストランを経て一定の成功が確証される前にフランチャイジー店舗へ新商品やサービスを提供することです。
フランチャイザーはフランチャイジーに対して「成功するオペレーション」を標準化した上で提供し続ける義務があります。
■「やってみなければわからない」ではダメ
FC加盟店に新商品やサービスを投入する場合には
「やってみないと成功するかどうかわからない」
では決してダメです。
新商品やサービスを心待ちにしているフランチャイジー加盟店からは、催促されることもあるでしょう。
FC加盟店運営時代、仲間のFCオーナーにそうした声を挙げる方もいました。
「本部は新商品の投入が遅い!直営店ばかり重視して新商品を投入しており、加盟店を蔑ろにしている!」
誤解なのですが、オーナーは頑固な方が多いので私がたしなめても耳を傾けてはくれませんでしたね。
少し脱線しましたが、仮にそうしたノイズが加盟店側から生じても、成功するオペレーションを提供することをとにかく貫くことが大切です。
また、この記事を通じてお分りになったと思われますが、今後事業のFC化を検討している皆様は
・直営店のみリスクにさらし、新しいことにチャレンジする勇気を持つこと
・それで失敗した場合には自社だけでリスクを負う覚悟を持つこと
・成功した場合のみ、その果実を率先してフランチャイジーに提供する「フォーユー」の精神を備えること
これらが求められることをぜひ理解して頂きたいと存じます。