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マニュアル作成を依頼された時の逸話
今回は経営的な話ではなく、国語に関する話と言っても良いでしょうか、フランチャイズチェーン企業のコンサルティングでこんなことがあったというこぼれ話です。
コンサルティングを依頼される企業の中にはマニュアル作成を苦手としている企業もありますので、そのような企業は自社で指導を受けながら作成するのではなく、当方にマニュアル作成を依頼される場合もあります。
(ただ、このブログでもお伝えしているとおり、フランチャイズビジネスにおいてマニュアルは大変重要なものであり、マニュアルの作成を通じてオペレーションの標準化は完結します。
そのため、マニュアル全ての作成をお引き受けすることはフランチャイザーのためにもなりません。
自社で作成できるよう特定パートだけを協議して選び、そのパートだけの作成をお引き受けし、残りの80%~90%程度は指導を受けながら自社で作成に取り組んでいただくようにしています。)
話し言葉にならないようマニュアルを作成することを依頼されたが・・・
今回のこぼれ話とは、事業のフランチャイズ化を検討していたある企業からFC用のマニュアル作成の依頼を受けた場面での話です。
クライアント側の担当者だった役員の方からマニュアル作成にあたってこのような指示を受けました。
「話し言葉にならないよう気をつけてください。」
マニュアルは話し言葉である必要はありません。
マニュアルはどうしても一定以上のボリュームになってしまうため、下手に話し言葉(以下口語)にこだわってしまったら、余計にページボリュームが肥大化する場合もありますので、文語で作成するという方針は決して間違っていません。
それで確認の意味で次のように回答しました。
「承知しました。では「である」調で表現を統一しますね」
すると慌てた様子でこのような返答が返ってきました。
「いや、それは困ります。マニュアルは加盟してくださる事業者へ提供するものですよね。丁寧語を使ってくださいよ。私が言っているのは話し言葉にしないで下さいということなのです。」
「です、ます」=文語という誤解
この返答でわかりましたが、この役員の方「です、ます」という表現は口語ではなく「文語での丁寧語」という実にユニークな解釈をしていることと、どうやら「話し言葉」というものを日常的な会話で使用する言葉や表現のこと(だけ)だと誤解していたようなのです。
この方が一般社員であれば「です、ます」は口語表現であることや口語と文語の違いを説明したと思いますが、相手は重責を担っている役員の方。
しかも部下の方々が複数いる手前だったので、その場で指摘をすることはせず、後日社長へ仕事の依頼をお断りする旨をお伝えしました。
さて、企業幹部の皆様、「です、ます」が口語であること、文語でないことはご存知ですよね?
近年では自社サイトのブログページを外部ライターの方へ依頼するケースが増えており、そうした需要を背景にランサーズをはじめとしたクラウドソーシングサービスが活気を帯びています。
なにも高度な言語知識は必要にないにせよ、ライターの方へブログ記事を依頼するならせめて口語と文語の違いぐらいはしっかりと理解しておいてくださいね。