フランチャイザー企業幹部の皆様に提言したいことは山のようにありますが、今回は特に中小フランチャイザー企業、あるいはアーリーステージのフランチャイザー企業幹部の皆様に強く提言したいことをお伝えします。
この記事の表題のとおり、中小フランチャイザーやアーリーステージのフランチャイザー企業こそ、海外進出を考えるべきです。
今すぐ海外進出せよ、とまでは申しません。
ただ、海外進出など大企業の話だとか、我が社には無関係といった先入観を一切排し、その可能性を真摯に探てることは今から着手しておくべきです。
目 次
中小フランチャイザーこそ海外進出すべき理由その1
私が海外進出をそこまで強く進言する理由を2つに分けて、お伝えします。
まずひとつ目は後ろ向きな理由となってしまいますが、日本経済の先行きです。
日本人の働き方は決して効率的とは言えませんので、労働生産性を高めることで国民一人あたりの所得を高められる可能性はまだ残されています。
しかし、人口をベースとしたマーケット規模という観点から、長期的な縮減は避けられないと覚悟すべきです。
その影響をもっとも受けやすいのが、地域テリトリーを加盟者の権益基盤とするフランチャイズビジネスになります。
日本は約20年後の2040年には、1億2千8百万の人口が1億7百万、即ち2千万人以上減少すると予測されています。
2千万人といえば、ルーマニアやスリランカなどの一国の全人口に匹敵する数字です。それが消滅する訳です。
もし仮に20年計画で全国制覇した場合、ようやく全国制覇したと思ったら、2割以上のFCが立ち行かなくなってしまった・・・
こうなって宜しいのでしょうか。
また、このブログで度々お伝えしていますが、日本は単純にマーケット規模が縮減するのではなく、高齢者が全人口の4割から5割を占め、その分労働者人口割合が縮減することが予測されています。
つまり、マーケット規模だけでなく、労働の担い手の争奪戦も今後更に厳しさが増してゆきます。
日本市場だけにこだわり続けてしまえば、テリトリー型の労働集約型サービスのフランチャイズビジネスは、日本市場や労働人口の後退と共に衰退しかねないから、このように強く進言しているのです。
中小フランチャイザーこそ海外進出すべき理由その2
中小フランチャイザー企業こそ海外進出すべき理由のふたつ目は、”フランチャイズビジネス”に本来国境はないからです。
フランチャイズビジネスの原点は、当ブログで何度も口を酸っぱくしてお伝えしてきたとおり、「”多民族国家”のアメリカ」です。
皆様の事業が本当に「フランチャイズビジネス」であるなら、国や民族の垣根を超えて通用する事業であるはずでし、そうなければなりません。
つまり、フランチャイズビジネスは海外進出に大変適したビジネスだからです。
その強みを活かさないとは、実にもったいない話なのです。
日本人に向けのサービスだから・・・その発想は思考停止
このように私がお伝えすると、
「我が社のフランチャイズ事業は日本人を対象に、日本人ならではのニーズを汲み取って事業化されたものだ」
とおっしゃる方がいます。
例えば宗教的理由から牛肉を食べない国に対し、牛丼チェーンを展開するのはたしかに無理でしょう。
従って、全世界で皆様のフランチャイズビジネスが直ちに展開できるとは、言えないかも知れません。
しかし、日本人だって、世界各国の国民の方々だって、皆同じ「人間」です。
文化や慣習、好みや環境の違いで受け入れられない事業があるのは事実です。
が、全世界に目を向けた場合、本当に皆様の事業は日本以外の国では絶対に成立しない事業なのか・・・
この点は、一切の先入観や固定概念を取り払い、真摯に検討して頂きたいことです。
そうした世界規模のマーケットから、自社のフランチャイズ事業を俯瞰し、通用するかどうか真摯に検討すれば、日本市場の開拓でも多いに役立つ新たな知恵や発想が生まれてきます。
まだ体制が・・・資金が・・・の発想も思考停止
海外進出に少々前向きな中小企業フランチャイザー幹部の皆様でも、いざ強く提言すると
・資金がない・・・
・組織体制が整っていないので、海外を考える人も余裕もない・・・
・国内で手一杯だ・・・
といった、それこそ、加盟候補者の方々が口にするような言い訳をよく聞かされます。
ではお尋ねします。
どんな組織体制が整ったら、海外に進出できるのでしょうか?
それは何年後に整うのでしょうか?
それまでに資金力は本当に整うのでしょうか?
そもそも皆様は、現在運営しているフランチャイズ事業を起業する際、人、物、金など全ての条件が十分整ってからスタートされたのでしょうか?
特に事業創業者の皆様には、起業時の状況をぜひ思い起こして頂きたいです。
また、皆様は、人、物、金といった経営資源が必ずしも十分とは言えない方々をフランチャイズオーナーとして迎い入れ、その方々を一人前に成長させる社会的使命を負っているはずです。
そのような使命を負っている方々が、「資金がない」、「人材がいない」等を言い訳にして良いものでしょうか。
今回はかなり辛口になりましたこと、ご容赦ください。
しかし皆様が取り組んでいる事業が
「正真正銘のフランチャイズビジネス」
であるなら、私の提言は、ごく当たり前のことを指摘しているに過ぎないことをきっと理解して頂けるものと信じております。