目 次
フランチャイズ店舗の収益が生活基盤となっているFCオーナー企業は倒産させてはならない
フランチャイザーはフランチャイズビジネスを末永く推進し、チェーン店の発展・繁栄を目指す「覚悟」があるなら加盟店を絶対に倒産させてはなりません。
このように指摘すると
「ザーとジーはそれぞれ異なる経営責任で運営されている企業体。倒産の責任までは負えない。」
との反論を頂戴します。
なにも連帯保証人になったり、資本を注入して経営を支えろと言ったりしている訳ではありません。
加盟店舗以外に手広く事業展開しているFCオーナー企業が、加盟店の経営は順調だったのに、他の事業の失敗が原因で倒産してしまう場合は確かにやむを得ません。
しかし、私が言っているのは加盟店の経営だけしか行なってない個人事業主の方や加盟店で、収入のほとんどを売上に頼っているケースです。
中小企業や個人事業主の方のフランチャイズ加盟は、そうしたケースがとても多いのではないでしょうか。
そのようなケースでもし加盟店舗の経営が上手くゆかなくなったら、倒産、さらには経営者個人の破産を招き、その家族まで不幸にしてしまう可能性が高まります。
このような事態は、フランチャイザーとして発生させてはならないのです。
経営が悪化していたら全力で支援すべき
フランチャイジーの売上が落ち、収益が悪化し始めたらどうすればよいか。
やることは一つです。
売上が回復するよう通常の臨店指導回数などは度外視し、全力で支援を行なうことです。
そこまで責任を負う契約にはなっていない?
契約にあろうがなかろうが、必要ならオーナーと寝食を共にするぐらい密着し、根本から経営を立て直す支援を行なうべきです。
資金繰りが厳しいようであれば、銀行へ同伴し取引先支店の支店長に
「本部が全面的に支援する。必ず経営を立て直してみせる」
と約束し、返済を待ってもらったり、追加融資を受けられたりするよう援護射撃も行なって下さい。
(くどいようですが、資本を注入しろ、金銭上の連帯保証人になれと言っているのではありません。)
私自身、スーパーバイザー時代に実際に取り組みました。
(勿論社長には許可を取った上ですが。当時社長から言われたことは「とことんやれ!絶対に救え!」の二語だけです。)
倒産させてはならない理由とは
なぜここまで言うのか。
1点目は仮に1店舗だけであっても、倒産という事実はチェーン店のブランドを大きく毀損させることになること。
一店舗であっても倒産すれば、お客様はチェーン店全体に対して
「あの会社はうまくいっていない=商品がきっとよくない」
といった発想になる可能性が極めて高いからです。
もう1点は、こうした経験を積めばフランチャイザーとして大きく成長できるからです。
上手くゆかないフランチャイジーの経営建て直しにこそ、そのフランチャイズチェーンが末永く発展、繁栄を遂げるための大きなヒントが数多く詰まっているからです。
ある小売サービス系のフランチャイズチェーン本部の幹部と話をした際の経験です。
このようなことを他人事のように語っていたことに、私は驚きを禁じ得ませんでした。
「この前、加盟したフランチャイズオーナーが自己破産したんですよ。
仕入れ代金やロイヤルティーが、焦げ付いちゃって困りましたよ。
出店費用の8割以上を借金してたらしいですけど、売上が低空飛行のまんまだったんで、借金が返せなくなった訳です。
経営にむいてなかったんでしょうね。ハハハ・・・」
何が何でも守り抜くこと
勿論、社長ともども、こうした姿勢に対して厳しくお説教させて頂いたことは言うまでもありません。
こうした発想をする人物が、フランチャイザー企業の幹部を務めていることに暗澹たる気持ちになりました。
もう一度言います。
ジーとしての事業が生活の生命線となっているフランチャイジーを、絶対に破産させてはなりません。
何が何でも守り抜くこと。
それは間違いなくフランチャイザーとして大きく飛躍、成長するための礎となります。