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svの仕事で大切なこと=ほめること
今回のテーマは現役スーパーバイザーの方々向けアドバイス記事ですが、ぜひともFC加盟を検討されている方々にも読んで頂きたい記事です。
スーパーバイザー(以下SV)諸氏は直営店店長との関係をフランチャイズオーナーと同じぐらい大事にしなければなりません。
特に大切にすべきことは「ほめること」です。
■SVの仕事は店長を叱ることではない
SVの仕事は「問題点を発見して適切に指導する」という耳障りの良い言葉に則って、店長やFCオーナーへダメ出しするのが主な仕事だと思ったら大間違いです。
あるフランチャイザーのコンサルティングにおいてSVの直営店指導に同行した際のことです。
そのSVの方は当方に対し「俺はこれだけいろんなことに気付けるんだ。こんなに指導力があるんだ」と良いところを見せたかったのかも知れませんが、来店するなり店長を呼びつけて、あれがダメだ、これができていない等々次から次にダメ出しのオンパレード!
店長は「はい、はい」と緊張した面持ちで懸命に返事をしていましたが、顔色が曇ってゆく様子ははっきりと確認できました。
ただでさえ、あのようにダメ出しされれば気持ちが萎えてくるのに、当方というゲストがいる前まで恥をかかされては店長としてはたまったものではありません。
しかも・・・こうした事例は例外ではありませんでした。
協力させて頂いた多くのフランチャイザーで同様な場面を拝見しました。
会社によって多少事情は異なるかも知れませんが、SVにとって直営店店長は部下であり、指導し、育てる責務を負っていることは理解しています。
またSVの方々にとって自分が担当している直営店の店長は「気心が知れている仲間」といった存在ゆえに、良くも悪くも「言いやすい存在」かも知れません。
少なくともFCオーナーより身近に感じられる存在であることには間違いないでしょう。
■ダメだダメだは逆効果
しかし「ダメだ、ダメだ」との指摘は逆効果です。
名将山本五十六氏や元オリックスの監督故仰木彬氏しかりですが、人を育てる基本は「良いところを認め、ほめる」ことにあります。
また歴史上の賢人の言葉や行動だけに留まらず、「ほめる」ことがビジネス上のパフォーマンスを向上させることは科学的にも実証されています。
ほめるだけで一切叱ったり、ダメ出しをしてはいけないかと言うとそうではないのですが、ここでほめると叱るの割合に対する世間の誤解を一つ指摘させておいて頂きます。
「ほめる3:しかる1」は間違い?ロサダラインの正しい意味とは
「ロサダライン」という言葉をご存知でしょうか。
ネット上では何回ほめて何回叱れば良いかの黄金比率としてロサダラインを引用し、「3:1」だと断定して紹介している記事が多数見受けられます。
しかしロサダ氏が研究によって明らかにしたことは「3:1を下回るとパフォーマンスが落ちる」と言うことであって、それが理想的な比率だとは何ら結論付けていません。
それどころか研究内容をよく確認してみると、「6:1」の方が更にパフォーマンスが向上していたという結果が導き出されています。
では7:1、8:1だったらどうだったのか?
残念ながらロサダ氏の実験では6:1がMAXでそれ以上の比率では実験が行なわれていないため、その点は不明です。
ただ明確なことは、少なくとも3:1より6:1以上の割合で「ほめる」を優先すべきであることは明らかになったと見るべきです。
1回叱るなら6回以上ほめよ
従ってSVの方々は直営店の店長を指導する際に一つのダメ出しをしたいなら、少なくともその6倍ほめる必要があるということであり、それができないならダメ出しすべきではありません。
ところが多くのフランチャイザー企業において、SVは直営店店長に対しダメ出し6、ほめる1以下の割合で指導が行なわれていると言って良いぐらいの現状になっています。
そうした状況は一刻も早く逆転させる必要があるのです。
さて、FC加盟を検討されている皆様方はこの記事を通じて色々と思うところがあったかと思われますが、この記事で良いFCの見分け方が一つわかったのではないでしょうか。
良いFCを見分けるチェックポイントの一つに、直営店店長をSVがどのように指導しているかがあげられる訳です。
直営店店長をほめて育てているフランチャイザーは優良FCの条件の一つです。
SVが直営店店長をどのように指導しているか、FCを選ぶ際のチェックポイントとして必ず確認するようにしてください。