現在、小売業界のFCでダントツに勢いがあるフランチャイズチェーンと言えば、「ワークマン」です。
ワークマンはFCとして大躍進を遂げていますが
「ワークマンは勝つべくして勝っている」
というのが私の率直な評価となります。
なぜなら、ワークマンは当ブログを通じて私がフランチャイザーへ訴えてきたことを、見事にやってのけているからです。
ではワークマンが勝つべくして勝っているとは具体的にどういうことか、フランチャイザー企業幹部の皆様に説明させて頂きます。
目 次
ワークマン勝利の理由1:直営店譲渡
私は当ブログにおいて、FC加盟を検討されている皆様に対し「直営店譲渡」による加盟を強力に推奨して参りました。
まあ、直営店譲渡加盟の旗振り役を自認しております(笑)。
新規店舗を出店する場合、まず立地判定で躓いてしまうリスクがあります。
経験を積んだ本部でも立地判定はなかなか難しく、予測された売上を大きく下回ってしまうこともあります。
もし立地判定が根本的に誤っていれば、運営面でどんなにFCオーナーが努力しても、黒字化は困難です。
そうなってしまってはFCオーナーはもちろん、フランチャイザーにとっても悲劇となります。
また、私自身が嫌というほど味わいましたが、店舗運営で一番難しいのが、立ち上げから軌道に乗せるまでの間です。
そこで失敗してしまえば、軌道に乗るまでの期間が一気に長期化してしまいます。
従って、立地判定で躓いていないことがすでに立証されており、尚且つ最も大変な軌道乗せに成功し、固定客も付いている状態で経営が引き継げる直営店譲渡ほど、加盟者にとって成功確率の高い加盟方式はないのです。
その点で、ワークマンの加盟方式は直営店の譲渡(または運営委託方式)が基本であり、加盟希望者にテリトリーを与えて、物件探しから行わせて新規出店する方式を採っていません。
この点が、加盟を検討している方々に大きな安心感や勇気を与えていることは、間違いないと言って良いでしょう。
ワークマン勝利の理由2:オーナーとして休みが確保できること
この点も当ブログで大切さを強く訴えてきたことですが、FCオーナーが心身ともに安心して休息できる時間を定期的に確保することも、フランチャイズチェーンが発展してゆく上で大変重要な要件です。
それを軽視し続けるとどうなるかは、コンビニチェーンが物語っています。
休息がなければ、疲労が蓄積し、オーナーが体を壊してしまうリスクが高まります。
仮に体を壊さなくとも、事業運営に取り組む意欲や活力は確実に削がれてしまいます。
FCオーナーが活き活きと運営店舗の前線で活躍してもらうためにも、フランチャイザー本部は、ルールや制度を通じて強制的にFCオーナーが休息できる時間を確保するべきなのです。
その点において、ワークマンは店舗の営業終了時間が夜8時までの固定。
しかもPOSレジの集計を当日に行わなくて良いシステムになっているため、ごく簡単なクローズ作業を行えば、午後9時前に自宅に帰りつくことができます。
午後9時前であれば、子供がいるオーナーなら自分の子供とも家族団らんの一時を確保できるでしょうし、それがオーナーの活力や癒やしにもなります。
さらに、本部指定の定休日も月1回程度設けられています。
例えば夫婦で運営している場合、店舗が無休でなければどちらかが交代で店に出る必要に迫られ、夫婦一緒に休日を確保することはほぼ不可能になります。
オーナー夫婦が二人で休日を取ることができる定休日の重要性を、フランチャイザー企業幹部の皆様はよく考えて頂きたいと思います。
ワークマン勝利の理由3:初期投資額が350万円
ワークマンがフランチャイズ加盟検討者から、抜群の人気を誇る理由をもう一つあげるなら、やはり最大350万円と、個人でも準備可能な資金で加盟できる点があげられます。
この方式はコンビニチェーン店でもすでに採用されている方式ですね。
しかしながら、ワークマンの場合、フランチャイズ加盟は法人は認めておらず、個人のみであることはポイントです。
つまり、個人の加盟を促すには、これも当ブログで散々訴えてきたことですが、「初期投資」のハードルを下げることがいかに重要か、ワークマンの成功がその点を十分立証しています。
個人の方に1千万を超える投資資金を負担させる加盟方式だけでは、加盟候補者の獲得にどうしても限界が生じます。
個人のオーナーも獲得したいのであれば、ワークマンの成功事例が物語っているように、500万円未満でオーナーになれる加盟方式を検討すべきです。
ワークマンに死角はないか
以上、ワークマンが成功している理由を3つ上げましたが、どれも、手前ミソながら、私がその必要性を訴えてきたことばかりです。
つまり、フランチャイザー企業として成功するために必要な取り組みを当たり前のように実行した結果、大成功を収めているとも言えます。
では破竹の勢いを誇るワークマンに死角はないのでしょうか。
小売分野で、私が日本企業を下手すると駆逐してしまうのではないかと見ているのが、ECの王者「アマゾン」の存在です。
ワークマンもネットに占める売上は馬鹿にできない水準となりつつあるようですが、アマゾンもワークマンが好調であることは当然キャッチしているはず。
サテライトショップを通じた店舗網とECサイトの両面から、ワークマンの市場を奪いにかかれば、間違いなく驚異になってくる存在です。
従って、ワークマンでしか取り扱っていないオリジナルのヒット商品を開発し続けることが、ワークマンの長期的な命運を握っていると言って良いでしょう。