海外へのフランチャイズ進出に関するビジネスをお手伝いしていた関係で、一時日本を離れるなど大変バタバタしておりました。
さて、今回はその経験を踏まえ、フランチャイズビジネスを海外展開する場合にはどうすれば良いか、二回に分けて説明したいと思います。
一回目の今回は、海外企業との組み方についてです。
目 次
日系企業と現地企業どちらと組むべき?
フランチャイズを他国で展開する場合、現地法人を立ち上げるにせよ、フランチャイジーを募集するには現地に精通した企業の協力は不可欠です。
その際の選択肢は大きく2つあります。
1つは現地国企業と提携すること。
2つめは日本法人が現地国に設営している日系企業と提携すること。
皆様はどちらが良いと思われるでしょうか。
それぞれメリット・デメリットがありますので、その点を整理すると次のようになります。
現地国企業のメリット
・現地国との行政との交渉や許認可を得やすくなる
・現地国での企業活動(特に対外的活動)で言葉の問題がない
・現地国のフランチャイズオーナーを募集する場合には人脈などを期待できる
現地国企業のデメリット
・文化や慣習の違いから、思わぬところで摩擦や行き違いが生じ、関係が悪くなる場合がある
・相手企業が日本語に精通していなければ、言語上のコミュニケーションが上手くゆかないことがある
・信用度や企業体力の評価などが難しい
日系企業のメリット
・コミュニケーションが取りやすい
・日本企業側に信用上の担保を期待できるし、また信用評価しやすい
・文化や慣習上の摩擦などが生じにくい
日系企業のデメリット
・現地国企業ほどの人脈は期待できない
・現地国企業よりコストが高くなることが多い
・現地に溶け込みにくくなる場合がある
現地国企業、日系企業のメリット、デメリットは概ねこのようなことがあげられます。
その上で、どちらが良いかは業種にもよります。
また、現地国企業あるいは日系企業が具体的にどのようなポテンシャルのある企業かによっても異なってきます。
一概にどちらが良いとは断定できません。
・・・が、その上で、敢えてどちらが良いか答えよと言われたら私は日系企業をオススメします。
フランチャイズパートナーで日系企業をすすめる理由とは?
海外でフランチャイズビジネスを展開する場合、なぜ現地国企業ではなく、日系企業をすすめるかですがその理由も2つあります。
■理由1:現地国でのトライアンドエラーが成功に不可欠
1つ目の理由は現地国での直営店でトライアンドエラーを繰り返し、現地国にあった商品メニューやオペレーションへとビジネスパッケージを進化させる必要があるためです。
これを行わなければ、現地国での成功は不可能です。
日本企業の進出が加速度的に増加している東南アジアエリアは、特にそうです。
そもそも現地国企業がパートナーとして名乗りを上げる理由は、日本企業のノウハウに対して高い期待があるからこそです。
ところが直営の実験店がなかなか上手くゆかず、赤字が続くような状況を見せられると、現地国企業のモチベーションは急速に低下してしまいます。
最悪、早々にパートナー契約の解消などを言い出されかねません。
それでは思い切った挑戦などできなくなります。
ある程度失敗することを前提に共に叡智を出し合って改善策、解決策を導き出すには、日本人流の経営が前提となっている日系企業の方がパートナーとして適しているからです。
■理由2:安心感・信頼感は何ものにも代えがたい
2点目はやはり何と言っても安心感、信頼感の高さです。
私は日本人駐在員の方々から
「現地国企業は平気でウソを付いたり、出来ないことをできると言ったりする」
との主旨の話をさんざん聞かされていました。
まあ・・・日本企業だって時にホラを吹く時はありますし、裏切る場合はあります。
従って確率的な話と言って良いかも知れませんが、文化的違い、慣習や宗教、民族的な違いから、日本企業同士の取引では絶対に考えられないようなトラブルが現地国企業との取引でしばしば生じた事例は多々見聞致しました。
また、宮仕えしていた頃の話となりますが、海外進出において散々な目に実際あいました。
絶対とは言えませんが、こうした可能性は高いと考えておいた方が良いですね。
そもそも現地国企業にしてみれば日本企業は「よそ者企業」に過ぎません。
同じ取引でも現地国企業同士であれば、同じ民族として一定の信頼も築きやすいでしょう。
一方「よそ者企業」は、いつ撤退するかも知れない訳です。
そんな企業に全幅の信頼を寄せて取引を行ってくれることを期待することが、むしろ図々しい発想なのかも知れません。
従って、安心感や信頼感という意味では日系企業に勝る企業はないというのが実感です。
ということで、海外進出を検討しているフランチャイザーは信頼できる日本企業と現地法人をパートナーとして事業展開を行うことをオススメします。
では次回は、海外進出する場合のオススメ国をご紹介します。