目 次
バイトテロ対策の相談は増えています
最近、バイトテロが世間を賑わせていますね。
バイトテロは自分の店舗で仮に起きなかったとしても、同一チェーン店で起きてしまえば、何らかの影響が避けられません。
それだけに、バイトテロについて大変不安を感じているFCオーナーの方々も多いかと思われます。
実際、バイトテロ対策に関するご相談も増えてきました。
そこで今回はバイトテロ対策を考える上で、大切な二つの視点を取り上げることに致します。
ファイアプリベンションとファイアファイティングの二つの視点から対策を検討すること
バイトテロのような、経営上の「課題」ではなく、経営上の「問題」が起きた場合、
ファイアプリベンション
と
ファイアファイティング
の二つの視点から、それぞれ対策を考えることが大切です。
ファイアプリベンションとは日本語で
「防火措置」、柔らかく言えば「火の用心のための対策」です。
一方ファイアファイティングとは文字通り火と戦うこと、即ち
「消火活動」
のことです。
火災という問題に対処するには消化器の使い方や、消火活動を学ぶことも大切ですが、それだけで十分とは言えませんよね。
そもそも店舗が火災に見舞われないよう、火の元のチェックだと、火の取扱いに関する従業員教育等、火の用心の対策も必要です。
つまり火事というリスクに対しては「火の用心」と「火消し」の両面からの備えや対策が欠かせないということです。
バイトテロも同じです。
バイトテロという火災を発生させないための用心対策と、バイトテロ火災が起きてしまった場合、その被害を最小限に抑えるための火消し対策の、二つの視点で
対策を徹底的に検討することが、何より大切です。
ファイアファイティングの対策とファイアプリベンションの対策が「互いに非難合戦」という愚行
昨今のバイトテロ頻発を受け、ネット上では様々なバイトテロ対策がメディアやブログなどでも紹介されています。
ところが・・
ネット上で紹介されている多くの対策が、ファイアプリベンションかファイアファイティングのどちらか一方、片手落ちの対策に留まっているケースが多いことが、残念に思えてなりません。
中にはファイアプリベンションの対策を掲げている方と、ファイアファイティング対策を主張している方が、互いの対策を非難し合っている記事などもあり・・・
これなど愚行の極みです。
ファイアプリベンションの具体策は
まずファイアプリベンションとしてどのような対策が望まれるかですが、初歩的ながら有効な具体策としては
・職場(バックヤード以外)にスマホを持ち込ませないこと
(店舗内の従業員による撮影行為自体も併せて禁止事項としておくこと)
・雇用契約締結時に、バイトテロ行為に関する具体的な禁止条項を設けて「読み合わせ」を行うこと
があげられます。
まずスマホを持ち込ませないですが、持ち込ませないと言っても、通勤段階から、スマホの携行を禁じるのは現実的ではありません。
職場環境によっては実施が難しい場合もあるでしょうが、
鍵付きのロッカーに私物と共に保管させる、
社員が管理できる金庫等で一時保管する等、
勤務中だけスマホを利用できない状況を作り出せるルールを確立することです。
次に、雇用契約書についてですが、雇用契約書は自宅などで署名・捺印させて提出、終了としてはいなかったでしょうか。
コンサル経験で申し上げますと、雇用契約書というより雇用契約の締結プロセスを、かなりルーズにしているチェーン店は割と多いです。
仮にマニュアル化されていなかったとしても、FCオーナーの皆様はオーナーとしての重要な仕事と位置付け、採用を決めた従業員と共に雇用契約書を読み合わせるプロセスを、ぜひ取り入れてください。
その際、雇用契約書を機械的に読み合うだけでなくバイトテロ行為には、取り返しのつかない重い社会的責任が生じることをFCオーナーの口から丁寧に説明することも重要です。
必要なのはモチベーションではなくモチベーションシステム
ファイアプリベンション策としてあげた先の二つの対策も有効ですが、即効性はなくともやはり最も大切なのは
「モチベーションシステム」
を備えることです。
当ブログにおいてモチベーションシステムとは何か
「アルバイトはモチベーションではなくモチベーション”システム”が大切」
という記事内容をご紹介していますので、詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
バイトテロ対策において
「モチベーションが大切だ」
といった情緒的な抽象論を振りかざされる先生方が多々見られます。
が、従業員の方々が欲しているのは曖昧で、口先だけの動機付けなどではありません。
従業員の方々のやる気が高まる、公平でわかりやすい”仕組み”が必要です。
例えば「従業員を褒めることを心がける」ではシステムになっていません。
この場合なら
「毎月必ず1回、従業員を褒めるだけのミーティングを実施する」
がシステムです。
もちろん、仕組みだけで内容が伴っていなければ、時間を奪われる従業員の方々にとって迷惑なだけです。
この点はFCオーナーの力量が問われる点ですが、各従業員の良さを丁寧に観察し、何がどう良いのか、なぜその点を高く評価するのか、従業員側にとって説得力や納得度の高い「褒める内容」を準備しておくことです。
まあ・・・このあたりは、どれだけきめ細かい仕組みを整えているか、FCオーナー以上にフランチャイザー側の力量が、評価される点でもあります。
そのため、私はFC加盟を検討されている方々に対し
「「トレーニングシステム」が備わっているのは当然。
これだけでは優良FCと言えない。
しっかりとした
「モチベーションシステムが備わっているFCかどうかを見極めることが大切」
ということを、口を酸っぱくしてお伝えしております。
従って、加盟しているFCにモチベーションシステムが備わっていないのであれば、その点を今更嘆いても仕方ありません。
大変かも知れませんが、FCオーナー自身で「時給」を主な評価軸において、従業員が店舗に貢献してくれた場合にはそれらの評価が、システマティックに反映される仕組みを設計し、いち早く提供することです。
要は従業員の方々にとって「口先だけではなく形となって表れる、褒められる仕組み」を提供するということです。
ファイアファイティングはSNS監視と日々のエゴサーチ
最後にファイアファイティングですが、消火活動はできるだけ火が小さい内に素早く消火活動を行うことが鉄則です。
そのためには、現実的な対策としてSNSや掲示板など主要なサイトをピックアップした上で、定期的な監視を行うことが早期発見→被害の縮小化に繋がります。
チェーン店全体のパトロールは、フランチャイザー側の大事な仕事ですし、すでにSNS監視サービスを導入するなど、対策に乗り出しているチェーン店もあるかと思われます。
しかしながら、問題動画や画像をアップされた場合に最も影響が大きく出るのは、その店舗です。
ある程度、自主的な取り組みも必要になってきます。
そこで、FCオーナーにオススメしたいのはSNS監視ではなく、自店舗への評判や評価を探る「エゴサーチ」を目的としたネット調査の取り組みを、継続的に行なって頂くことです。
バイトテロが生じなくとも、お客様のちょっとしたコメントやツイートが、自店舗の評価を一気に下げる事態を引き起こすことはあり得ます。
また、炎上騒動になるかどうかに関係なく、ネット上で自店舗に関する口コミや画像情報等に定期的に目を通すようにすれば、臨店だけでは得られない店舗改善のヒントを得られることが多々あります。
従って、エゴサーチを最低でも1日1回は日課として、ぜひ取り組むようにしてください。