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フランチャイズを本質的に理解するために大切なこと
フランチャイズシステムの起源は皆様のご承知の通り、アメリカです。
フランチャイズシステムがアメリカ生まれということには、実はフランチャイズシステムの本質を理解する上で大きな意味があります。
逆に言えば、この点を無視したままフランチャイズシステムを理解しようとしても、その本質は理解できません。
それだけ「米国生まれ」ということに重要な意味が内包されているのです。
ではどのような意味が内包されているかですが、その点を理解するのに最もわかりやすい例が「ハリウッド映画」です。
アメリカを代表するビジネスであり、文化でもある「ハリウッド映画」を題材に、フランチャイズシステムがアメリカで生まれたことの意味と意義について説明致しましょう。
なぜハリウッド映画は世界中で支持されるのか
最近はやや勢いに陰りがあるようにも見えますが、依然として映画の世界市場をリードしているのはハリウッド映画です。
ではハリウッド映画がなぜこれほど世界中から支持されるのか、お分かりになるでしょうか。
お金をかけている、
有能な映画監督が多数いる、
エンターティメントのノウハウがある、
等々理由は一つだけではありませんが、「世界中」でヒットする最大の理由は、アメリカが多民族国家であること抜きでは語れません。
映画のエンディングロールでは毎回延々と映画製作に関わった人物や企業が紹介されますが、1本の映画を作るには実にたくさんの人が関わります。
米国は多民族国家ですから、たくさんの人が関わるということは米国籍であってもたくさんの民族が関わることを意味します。
そうなれば多様な意見が映画に反映されることになります。
その結果、日系人もヨーロッパ系も、中華系も、アフリカ系も、南米系移民の方々も「面白い」と思える映画作りが必然的に志向される訳です。
米国国内の映画市場自体もしかり。
多民族国家ですから、アメリカの国内市場でヒットを飛ばそうと思えば、必然的に多民族に受ける映画作りが迫られます。
つまりアメリカ国内の映画市場は世界の映画市場とあまり変わりがなく、特に世界を意識しなくともハリウッド映画は世界市場全体で支持される映画に自然となる訳です。
一方日本映画はどうでしょうか。
米国とは事情が大きく異なっていますよね。
殆どの場合、日本映画は日本人スタッフだけで作られることになります。
まずは日本の映画市場で成功することが第一となりますので、日本人の感性や好みが映画作りの核になります。
勿論日本映画の中にも、世界市場を意識して製作された映画はあります。
しかしながら海外でヒットする作品は限られており、世界市場においてはとてもハリウッド映画を凌駕する状況には至っていません。
フランチャイズとハリウッド映画の共通点
さてさて、何やら映画の話ばかりでフランチャイズの話とは全く関係ないじゃんと思われたかも知れませんが、とんでもありません。
大いに関係があります。
ハリウッド映画には多様な民族の方々が制作に関わり、そうした多様な民族の方々が「面白い」と思える映画作りが行われていると説明しましたが、この社会的な土壌の中でフランチャイズシステムが生まれたことをしっかりと認識して頂く必要があります。
「フランチャイズシステム」とは成功するビジネスノウハウを加盟者に提供することで、共に栄えてゆくことを目指すビジネスです。
民族が異なれば商品やサービスに対する好みなども異なります。
また、ビジネスそのもの対する見方や捉え方、ビジネス上の慣習なども異なる面があります。
仕事全般にせっかちな民族もいれば、のんびりルーズに仕事を考える民族もいます。
そうした多種多様な民族が文化や慣習の違いを乗り越えて
「(一定要件を満たした方なら民族の違いに関係なく)成功できるビジネス・共有できるビジネス」
を実現するために開発されたシステムこそが、フランチャイズビジネスです。
つまり、フランチャイズシステムの核である「オペレーションの標準化」や「マニュアル(化)」は、そうした民族の文化や慣習の違いを乗り越えてビジネスを共有するための手段として生まれたものなのです。
アメリカのフランチャイズの起源となった逸話として、ミシン販売の事例が時々紹介されます。
が、「歴史」を学ぶ上で役立つかも知れませんが、フランチャイズへの理解は深まりません。
フランチャイズシステムの原点はこのブログで何度も繰り返しお伝えしていますが、「オペレーションの標準化」と「マニュアル(化)」にあります。
これらがなぜ必要だったのか、どんな理由で生まれたのかを理解していなければ「オペレーションの標準化」に対する理解を深めることはできないからです。
また、民族的違いを乗り越える仕組みとして生まれた「オペレーションの標準化」や「マニュアル(化)」の意義が理解できてくれば、日本特有のフランチャイズの課題もよく見えるようになってきます。
では、今回の記事を踏まえた上で、続編として日本特有のフランチャイズシステムの課題について次回ご紹介することにします。
次回記事もぜひご覧頂き、更に理解を深めて頂ければと思います。