目 次
米国生まれのフランチャイズにおける重要な前提
前回記事でフランチャイズシステムがアメリカで生まれたことの意味についてお伝えしましたが、この記事は前回の続編です。
従いまして前回記事をご覧になっていない方は、ぜひ前回記事もご覧頂いた上で本記事を読んで頂くことをオススメ致します。
さて、フランチャイズは多民族国家アメリカにおいて、民族的な違いを乗り越えてビジネスの成功モデルを共有するために生まれたシステムといった主旨お伝えしました。
が、日本のフランチャイズはこの原点が軽視されています。
民族的な違いを乗り越えるということは、「違いがあること」がそもそもの前提になっています。
もう少し詳しく表現すれば
「民族間で考え方や文化、慣習、知識などで様々な違いがあるのだから、ビジネスを理解し合い、共有することは容易なことではない」
という前提があったと言えます。
その容易ではないことを実現するために生み出された手法が、オペレーションの標準化やマニュアル(化)を柱としたフランチャイズシステムなのです。
■違いを前提としない単一民族日本の慣習や文化
ところが、日本は単一民族国家です。
島国で他国民族がいなかったことが影響してか、
「空気を読め」、「察して知るべし」、「阿吽の呼吸」・・・・・
などなど、わざわざ詳しく説明しなくとも悟ることや適切に判断することを求める民族性があります。
また、そうした感性が秀でている人を高く評価する文化すらあります。
従って日本企業が
「理解し合うことが難しい」
という前提の元に作られたフランチャイズシステムを取り入れるなら、自分達のこうした民族性の特徴が悪影響を及ぼさないよう細心の注意を払う必要があった訳です。
ところが、そうした違いを考慮したフランチャイザーは外資を除くとなかなか見られませんね。
「日本人流にアレンジした」
というと聞こえは良いですが、フランチャイズシステムの根幹となるオペレーションの標準化にあまり注意が払われず、システムだけが安易に利用される状況になってしまっています。
日本のフランチャイズが粗末にしていることとは
自社が店舗運営などで行っているオペレーションを標準化する場合、大切なことは
「知らない」
「わからない」
そして
「理解できない」
を大前提にした上で取り組むことです。
逆に言えば
「これぐらいのことは説明しなくともわかるだろう」
という発想は、オペレーションの標準化を行う上で最もやってはならない発想です。
ところが!
多少皮肉っぽく言えば
「これぐらいのことはわかるだろう」
に基づいた発想を存分に活かして、オペレーションの標準化やマニュアル化に取り組んでしまっているケースが大変多いのが日本のフランチャイズの特徴であり、問題点です。
この点をもう少し詳しく理解したいという方には、本ブログ記事のFCのマニュアル作りの基本は「カップめんの作り方」にあり!もぜひ参考にしてください。
カップめんの作り方一つとっても、そのプロセスを標準化し、マニュアルとして伝えることがいかに難しいか、よくわかります。
こうした背景が、日本においていまだにフラチャイズに対する悪い印象が払拭できない大きな理由の一つになっている訳です。
■日本のフランチャイズは情報商材と似たような状況にある
日本のフランチャイズは、情報商材の現状に少し似ているかも知れません。
非常に絶賛されている情報商材がある一方、詐欺だの何だのと叩かれる商材も多いことから、情報商材市場は全体的には好印象を得られていない点などまさにそうです。
情報商材販売者の中には、人を騙すといった悪意のかけらもなく、自分が成功したノウハウを真摯に伝えているつもりの方もいるでしょう。
ところが日本のフランチャイズのように
「これぐらいのことはわかるだろう」
という認識が、購入者へノウハウを正確に伝える上での大きな阻害要因になっていることに気付けていないのです。
その結果、とても優れたノウハウだったとしても正確に情報を伝える上で肝心なことが抜けてしまっており、情報商材購入者が正しく理解できず、挙句
「あの情報商材は詐欺」
といった烙印を押されてしまう訳です。
この構造と、日本のフランチャイズが抱えている大きな問題点は見事に共通していますね。
私がコンサルティングを行っているフランチャイザー企業は、その点の是正をはかることができるのですが・・・
日本のフランチャイズ全体となると、とても力及ばずもどかしい思いをしています。
しかし、こうした情報を発信し続けることが業界全体の改善に向けたささやかな歩みになると信じ、今後も課題について厳しく指摘し続けたいと考えております。