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既存店譲渡と直営店譲渡の違い
店舗型のフランチャイズに加盟するというと、新店舗を構えてスタートするイメージが一般的ですが、新しい店を作る以外に加盟する方法というか、スタイルがあります。
既存店を譲り受けるという方法です。
既存店はフランチャイザー本部の直営店と、FCオーナーが経営しているFC店の二種類がありますので、既存店の譲渡もそれに合わせてふたつに分けることができます。
既存店譲渡の内、直営店をFC加盟者へ譲渡する場合は「直営店譲渡」と呼称されています。
同じく既存店の内、FCオーナーが運営している店舗を新しいオーナーへ譲り渡すケースは、店舗のオーナーが変わることから「オーナーチェンジ」と呼ばれます。
このふたつの譲渡方式の内、今回は「直営店譲渡」の方にスポットを当て、お伝えてして参ります。
直営店譲渡は基本的にオススメです
直営店譲渡は、はっきり言ってオススメの加盟スタイルです。
直営店譲渡は
・すでに安定した売上実績をあげている直営店が譲渡されるため、譲渡後もかなり堅実な売上が見通せる
・フランチャイザー本部が直接指導、育成した店舗スタッフを継承できるため、人材育成の負担が軽減され、スタート時から質の高い店舗運営ができる
といった大きなメリットや、アドバンテージがあるからです。
当然ですが、直営店譲渡ならどんなFCでも、あるいはどんな店舗でも良いという訳ではありません。
自分に合った業種・業態のFCを選ぶことは大前提です。
また、仮に大変売上が良い直営店が譲渡対象だと言っても、現在の住まいからはるか遠方にある店舗の譲渡を受けるのは避けた方が良いですね。
直営店譲渡にもデメリットはあります
直営店譲渡はメリット一色という訳ではなく、特有のデメリットもあります。
例えば先程、育成された店舗スタッフを継承できることをメリットとしてお伝えしましたが、これは同時にデメリットにもなってきます。
店舗スタッフの上司は、店舗運営に長けた、知識や経験も豊富な直営店の社員店長だった訳です。
そこに、店舗運営はまだ不慣れな新米オーナーが上司としてやってきたら、店舗スタッフはどう思うでしょうか。
表向きは歓迎してくれても、多くのスタッフは内心では「大丈夫だろうか?」と不安を感じるものです。
そのような中、チグハグだったり、頓珍漢だったりする指示を出そうものなら、陰で馬鹿にされたり、見下されたりする場合も生じやすくなるのです。
中には堂々と反発してくるスタッフが現れることだってあります。
つまり、自分だけが店舗運営では”新米”という環境の中で、直営店のスタッフだった彼ら、彼女らから信頼を得て、良好な関係を築くのは容易なことではないのです。
これが新店であれば、オーナーも店舗スタッフも共に1年生からのスタートとなりますので、そうした気苦労はありません。
他にも、マニュアル化されていない、店舗独自の約束事や細かなルールなどがあり、それらを覚えたり、慣れたりすることも求められます。
新店であれば、そうした店舗独自の細かなルールや店舗カラーは、オーナーが一から自分のペースや方針に則って一から築いていけますね。
このように、直営店譲渡にもデメリットはあります。
しかしながら、そうしたデメリットを差し引いてなお、直営店譲渡には大きなメリットがあります。
有力な選択肢として検討をオススメ致します。
直営店譲渡をしてくれるFCは意外に?多い
らあめん花月嵐や、やよい軒などが代表格となりますが、直営店譲渡を積極的にPRして、オーナー募集を行なっているフランチャイズチェーンがあります。
ところが、直営店譲渡を積極的に広告しているフランチャイズチェーンは少数派です。
アントレやFC募集のポータルサイトで、直営店(既存店でも良いです)譲渡だとか、継承といった言葉で検索して頂くと少なさを実感できるはずです。
では直営店譲渡に応じてくれるFCは、らあめん花月嵐などの一部のFCに限られてしまうのでしょうか?
実は、広告はしていないものの、直営店譲渡に応じてくれるFCは意外に多いんですよ。
なぜ広告しないかの理由はフランチャイザーによってそれぞれ異なりますが、代表的な理由をふたつあげますと
・直営店の数が少ないため、譲渡できる店舗数が限られる
・直営店譲渡では店舗数が増えないので、できれば新店で出店して欲しいとの本音がある
といった理由があげられます。
つまり、積極的に広告したくてもできない、あるいは、広告したくないということです。
そのため、FC募集広告記事やパンフレットには、どこにも「直営店譲渡」の文字は書かれていないのに、実は直営店譲渡を行なっているFCが結構存在する状況が生まれているのです。
直営店譲渡の有無は問い合わせればわかるか?
直営店譲渡について、広告を出していないフランチャイザーをどうやって発見すれば良いかですが、これは個別に尋ねて頂く以外、方法はありません。
密かに直営店譲渡をやっているフランチャイザー側も多くは
「聞かれたら答える(聞かれなければこちらからは教えない)」
というスタンスです。
もし検討しているFCが広告には直営店譲渡に関する情報がなかったとしても、譲渡に応じてくれる可能性はありますので、関心がある方は必ず確認するようにしてください。
ただし、その場合、少しコツがあります。
広告していないということは、情報として簡単に外部には漏らしたくないのです。
そのため、どこの誰かもよくわからない方から「直営店譲渡はやっているか」といきなり尋ねられたら、正直に教えてくれない場合もあります。
まずはこちら側の個人情報をちゃんと伝えるのは、当然です。
また、冷やかしや情報収集だけが目的ではなく、FC加盟を前向きに検討している姿勢をアピールすることも大切です。
それには、通常のフランチャイズ加盟に関する質問を投げかけて、先方からの回答に相槌を打ちながらよく耳を傾けるプロセスを踏まえた方が良いでしょう。
その上で
「実は直営店を譲渡して頂ける制度があると更に検討しやすくなるのですが」
といった、加盟に向けて更に加速する可能性を示唆した上で質問を切り出せば、慎重な担当者であっても
「この方なら伝えても良いか」
と表に出てこなかった直営店譲渡情報を教えてくれる可能性がに高まります。
今回はやや裏技的テクニックもお伝えしましたが、直営店譲渡ならFC加盟を検討したいという方々にとって、耳寄りな情報だったと思います。
中には、加盟希望者から熱心に要望されたため、そうした制度はなかったが、特別に直営店譲渡に応じたというケースだってあります。
広告情報だけで制度の有無を決め付けずに、尋ねてみたら道が開ける場合もありますよ!