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自己資金ゼロで加盟できる制度をぜひ検討して頂きたい
先週の記事において、FC加盟を検討されている方々向けに「自己資金ゼロでFC加盟を果たす方法」という記事をアップ致しました。
実はあの記事にはもうひとつのメッセージと申しますか、提案を内包させていました。
コンサルティングさせて頂いたフランチャイザーなどには必ずご提案して参りましたが、フランチャイザー企業、事業のFC化を検討されている企業の皆様には、加盟時の初期投資負担を解消できる、思い切った資金支援制度をぜひ創設して欲しいのです。
大企業と中小企業のサラリーマン:FC加盟を前向きに検討してくれるのはどちらか
フランチャイズ加盟において最も大きな障壁となるのが、自己資金です。
かつて1億総中流時代と表現されていた高度経済成長期から、バブル期の日本であれば、中小企業のサラリーマンでも努力次第で1千万円の自己資金を作ることは決して不可能ではありませんでした。
しかし、バブル崩壊後、日本はデフレ構造からなかなか脱却できず、そのしわ寄せは特に中小企業の労働者の方々や非正規社員の方々の所得に色濃く反映されてしまっています。
大企業のサラリーマンと中小企業のサラリーマンの賞与水準は、なんと平均値で3倍以上もの開きが生じています。
それでも基本給が一定割合ずつ昇給していればまだ良いです。
昇給率が1%に満たなかったり、中にはゼロ%どころか、マイナスとなっている方々も決して少なくありません。
そこにきて社会保障費の段階的なアップ、消費税のアップと、中小企業のサラリーマンは往復ビンタを喰らっているような状況です。
大企業に勤務する総合職のサラリーマン以外、それこそギャンブルか宝くじにでも当選しなければ、30代の個人が1千万円クラスの自己資金を独力で準備できるのは、時代的に不可能になってきているのです。
さて、フランチャイザー企業幹部の皆様にお尋ねします。
大企業で高給を得ながら活躍しているサラリーマンの方々が、その立場を捨て、FCオーナーとして加盟してくれる可能性はどれほどあるでしょうか。
給与の伸び悩みに直面しているだけでなく、勤務先が倒産するかも知れないという不安に怯えながら働いている中小企業のサラリーマンの方々や、派遣切り等により収入を断たれる不安を抱えている非正規雇用の方々と大企業のサラリーマンでは、どちらが熱心にFC加盟を検討してくれるでしょうか。
答えは明らかだと思います。
特に個人オーナーを獲得したいと考えているFCなら、中小企業や非正規雇用の労働者の方々の「第二のキャリアプラン」にこそ、目を向けるべきです。
それには、大変大きな障壁となる資金の準備に対し、手を差し伸べることが必要なのです。
そうすれば、自己資金は乏しいけれども、人生をかけてフランチャイズオーナーとして成功を果たしたいとの熱い思いを抱いた、頼もしい優良オーナーの獲得にも必ず繋がってきます。
奨学金制度をモデルに設計するのが一法
では具体的にどのような手を差し伸べれば良いかですが、これは学生を対象に貸与されたり、支給されたりする奨学金制度を参考モデルにできます。
日本の奨学金制度は、大雑把に申し上げれば学費の「全額」または「一部」と、返済不要な「給付金」と返済が必要な「貸付金」の4つの組み合わせで構成されています。
「学費全額・給付金」という組み合わせは大変優秀だが、親の所得が一定額を下回る等、ごく限られた学生のみ支給されます。
一方「学費の一部・貸付金」という組み合わせは、学生であれば誰でも申し込める、利用のハードルが大変低い奨学金となっています。
こうした奨学金制度を参考にした場合、およそ次のような4つの資金支援制度が案として考えられます。
① 初期投資額全額本部が貸与。更に一定期間以上加盟店を運営し、規定以上の営業成績をおさめた場合には貸与資金の返済も「全額免除」とする。
② 初期投資額全額本部が貸与。更に一定期間以上加盟店を運営し、規定以上の営業成績をおさめた場合には貸与資金の「一部が返済免除」とする。
③ 初期投資額全額を本部が貸与。返済免除制度なしで、毎月所定額を返済することを条件とする。
④ 初期投資額の一部を本部が貸与、もしくはリース契約や金融機関からの一部資金借入れにおいて本部が保証人になる。
当然①が最も本部にとってリスクと負担が高いので、厳選したFC加盟候補者のみに限って提供される制度と言えます。
一方、④については提携するリース会社や銀行などを巻き込み、極論すれば、FC加盟候補者ならどなたでも利用できるぐらいのスキームを構築されておくことをオススメします。
もっとも、④と言えどもリスクはあります。
しかし、そもそもフランチャイザーにとって、FC店舗の経営がおかしなくなり、倒産に至るような事態は絶対に避けなければならないことです。
もしそうならない確固たる自信があるなら、その程度のリスクは積極的に取ってゆくべきと考えます。
フランチャイザーにとって加盟金収入は、大きな収益基盤のひとつになっています。
しかしながら加盟金で儲けることが本筋になってはいけません。
フランチャイズ化させた事業を行うFC加盟店が潤うことで、結果的に本部も儲かることを追求すべきです。
本筋はフランチャイジーとの共存共栄にあるからこそ、初期投資という大きな障壁を打ち砕く、加盟候補者が唸るような大胆で魅力的な制度をぜひ設けてください。