モデル収支費用編・この項目をチェックせよ! – フランチャイズという選択

フランチャイズという選択

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モデル収支費用編・この項目をチェックせよ!

                      
モデル収支費用編・この項目をチェックせよ!

モデル収支の費用項目で着目すべきは一つで十分?!

本記事は先回のテーマ「フランチャイズのモデル収支の見方・そのポイント」の続編として、モデル収支の費用パートにスポットを当てて参ります。

もしお読みになっていない方は、ぜひ先回の記事もお読み下さい。

モデル収支の費用ですが、こちらも実態を無視して過度に費用項目を削ったり少額にしたりすれば、フランチャイザーには

「ぎまん的顧客誘引」

と見なされるリスクが生じます。

従って売上と同様に、詐欺目的のケースなどを除けば、それほどデタラメな費用をモデル収支として計上しているケースはあまりないと見て頂いて、基本的にOKです。

その上でですが、モデル収支の費用項目の中で「甘さ」、あるいは「姑息さ」が比較的目立つ項目が一つあります。

「人件費」です。

他の費用項目は一切無視して良いとまでは申しません。

が、モデル収支の費用項目では「人件費」を重点的にチェックすれば、モデル収支の費用全体が適正なものか、ひいてはモデル収支を提示しているFCが誠実にモデル収支を組み立て、提示しているかどうかも、ほぼわかります。

主な理由をあげると、まずは人件費が経費に占める割合の高さです。

人を採用する必要があるビジネスモデルであれば、おそらく大半のモデル収支において、人件費が最も大きな割合を占めるからです。

二点目として、人件費は固定費ではなく流動費のため、かっちりと明示しにくい経費であることもあげられます。

要は色々と言い訳がしやすい、悪く言えば誤魔化しやすい経費だということです。

それだけに、人件費をかなりシビアに計上しているモデル収支を提示しているFCは、信用に値すると言えます。

事例を通じて学ぶ・モデル収支の人件費チェック方法

ではモデル収支の人件費をどういった観点から、チェック、評価すれば良いのでしょうか。

次のような事例にもとづいて、説明致します。

【事例:一般飲食店FC】

・1日の営業時間数:10時間(1日の業務時間数は12時間)

・定休日:原則なし

・モデル収支上の月間売上:450万円

・モデル収支上の月間人件費:60万円

 

この事例を見ますと、売上に対する人件費率は約13%となります。

事実なら素晴らしい水準ですが、売上450万円という金額に対して、人件費60万円は適正なのでしょうか。

ただ数字を眺めているだけは、何も見えてきません。

そこで、数字を分解して考えると数字の適正度が、かなり捉えやすくなります。

まず売上ですが月商450万ということは、月30日の場合だと、日商で15万円です。

仮に顧客一人あたりの平均単価が1,500円としたら、1日あたりの来店客数は15万÷1,500で、100人となります。

更に分解してみましょう。

1日の営業時間は10時間ですから、1時間あたりの平均来店客数は100人÷10時間で10人です。

1時間あたり10人の顧客の注文を聞いて、調理を行い、メニューを運び、会計を行って、皿を片付けるといったオペレーションを一人で行うことは可能でしょうか。

このように分解して考えると、適正な人員数がイメージしやすくなったのではないでしょうか。

一人では到底ムリな数字ですよね。

厨房とフロア、それぞれ最低でも一人ずつは必要だと考えられます。(ピーク時は更に必要だと考えられますが、平均化させていますので、ここでは考慮しないことにします。)

今度は積算して考えてみましょう。

平均時給1,000円で、業務時間中平均二人のアルバイト従業員が稼働したとします。

1,000円☓2人☓12時間で1日あたりの人件費は2万4千円、30日では72万円となります。

「最低」でも必要な人件費が72万円と導き出されましたが、モデル収支では60万円になっています。

これは注意が必要というより、問題のあるモデル収支と言えそうです。

ただ何か合理的な理由があるかも知れませんので、FC本部に確認する必要はあります。

そこでFC本部にモデル収支の人件費についてその内訳など尋ねてみると、このような返答が返ってきました。

「オーナーが店舗に入ることで、モデル収支のような人件費に節約することは可能です」

時給計上不要のオーナーを店舗の生産性要員として組み込めば、人件費は”モデル収支上”節約できます。

これが、モデル収支の人件費を低く誤魔化すための代表的な手口であり、まあこうした言い訳をするFCはオススメできないFCの代表格でもあります。

何故か?

問題点を整理しておきましょう。

まずFCオーナーがどれだけ店舗のオペレーションに関わるかは、オーナーの希望によって異なります。

このモデル収支の事例は、そうした多様な選択肢を考慮しているとは言えません。

FCオーナーの希望や事情に合わせることができるFCなら、モデル収支では、オーナーが店舗に入らないことを前提に組み立てるものです。

では、FCオーナーが店舗に入って運営を行うことが条件となっているFCなら、こうした人件費の計上は許されるのでしょうか。

「NO」です。

FCオーナーが店舗に入ることを条件とするFCなら、人件費の中に含めるか独立した項目にするかは別として「店長給与」を計上するのが「常識」と言えます。

店長給与を計上せずに、オーナーに店舗業務を行うことを条件にしていた驚くべきFCが実際にありましたが、このようなFCは問題外です。

つまり、多少パート・アルバイトの人件費が節約できたとしても、店長給与分が加算されますので、人件費は減らないのです。

また、FCオーナーが店舗に入る場合、「店長給与」と表現したとおり、店長として店舗運営のマネジメントを行うという独立した役割と仕事があります。

店長を、アルバイトスタッフが担う店舗オペレーションに本来組み込んではいけないのです。

ということは、FCオーナーが店舗に入ったとしても、最低72万円という人件費は必ず必要になるということです。

従って、「FCオーナーが店舗に入れば人件費を節約できる」などと言っているFCも、検討に値しないFCと考えて頂いて結構です。

フランチャイズのモデル収支の見方・そのポイント(費用編)

 

人件費をチェックする際のポイント・まとめ

具体的な事例にもとづき、計算例などを紹介しながらの説明となりやや長くなってしまいました。

先程の事例の中で説明した事項を中心に、ポイントのおさらいと整理することに致します。

■ポイント1:人件費は基本的な数値を予めインプットしておくと評価しやすくなる

1つ目は人件費の分析方法についてです。

事例では計算式を段階的に説明しましたが、1日12時間を前提に時給千円のスタッフが1名稼働したら月額人件費は36万円、2名稼働なら72万円、3名稼働なら108万円程度の数字は、暗記しておくことをオススメ致します。

そうすればモデル収支の人件費の金額から、平均で何名稼働を想定しているのかがすぐに掴めるようになり

「この人件費は適正な人数で計算されている」

だとか

「このモデル収支は人件費を絞り過ぎている」

といったことが素早く読み取れるようにもなります。

 

■ポイント2:モデル収支の人件費にFCオーナーを店舗オペレーション要員として組み込んでいないか、チェックする

事例を通じてご紹介したとおり、モデル収支の人件費を少なく見せるための常套手段となっているのが

「時給が発生しないオーナーを店舗要員としてカウントする」

という、言い方は悪いですが、姑息な手段です。

モデル収支の人件費が売上に対してかなり低い場合には、上記のようなケースが疑われます。

人件費の構成などについてFC本部へ確認することが望まれます。

また、FCオーナーが店舗に入ることが条件となっているFCでも、それを理由にモデル収支の人件費を削るなどナンセンスです。

役割が違うのですから、仮に最低2名が必要なら72万円が最低必要な人件費となります。

 

■ポイント3:FCオーナーが店舗に入ることが条件の場合はモデル収支に「店長給与」が反映されているかもチェックする

ポイント3はFCオーナーが店舗に入ることが条件となっている限定的なケースですが、その場合は、モデル収支において店長給与が人件費としてちゃんと計上されているか、先述の通り要チェックです。

今はあまり事例として聞かなくなりましたが、かつては

「FCオーナーは収支の差益分が給料となります」

と平然と答え、モデル収支にFCオーナーの店長給与を計上していなかった非常識なFC本部がありましたね。

ということで、モデル収支の費用項目は人件費に着目し、確認、チェックを行えば収支の妥当性やFC本部の信頼性も読めてきます。

モデル収支の費用を見る場合には、ぜひこれらのチェック項目に従ってシビアに検証するようにしてください。

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自己紹介

私は現在、コンサルタントとして

・事業のフランチャイズ化支援
・フランチャイザー企業の経営支援
・顧客満足度(CS)調査・改善

を主なテーマにコンサルティング活動を行なっております。
近年、企業経営者や個人の方々からFC加盟についても相談を受けるようになりましたので、お役に立てればと考えこのブログを開設いたしました。

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