私のもとには、コインランドリー事業のFC”も”検討されている方が時々相談にお見えになります。
コインランドリーは自販機ビジネスのようなもので、マシンが主に稼いでくれ、オーナー一人でも十分管理できる取組やすさが魅力的に映っているのかも知れませんね。
しかし、コインランドリー事業の運営は決して甘くはありません。
本記事では決して安易に考えて頂きたくない、コインランドリー事業運営のデメリットを中心にお伝えして参ります。
目 次
コインランドリーFCのネック:ブランドより立地!
コインランドリー事業を専門にFC展開、あるいは委託方式などでチェーン展開している企業は、国内に多数存在します。
業界について調べている方であれば
「知名度が高い企業名をあげてください」
と質問されても、簡単に答えることができるでしょう。
では、コインランドリーを利用しているお客様はどうでしょうか。
機会があれば、一度お客様に次のようなことを尋ねてみてください。
「今皆様が利用されているコインランドリーの店舗名称をすぐに思い出せますか?」
そのお客様がが利用しているコインランドリーが、仮にAというFCチェーンだったとします。
中には正確な名称を答えられるお客様もいるでしょうが、おそらく
「○○町の一丁目角のコインランドリー」
だとか
「ローソンのとなりにあるコインランドリー」
あるいは
「郵便局の向かいにあるコインランドリー」
といった具合に、コインランドリーの場所で答えられるお客様が結構多いことがわかるはずです。
つまり、コインランドリーユーザーにとって、どこのチェーン店のコインランドリーかはそれほど重要な情報ではないのです。
自分の下着など、あまりに人に見られたくないものを持参して店舗を利用する訳です。
例えば料金が周辺よりバカ高だとか、女性のお客様であれば変質者が時々出没するといった事情でもない限り、チェーン店の違いだけを理由に、わざわざ遠くのコインランドリーを利用しようという方はいません。
即ちコインランドリービジネスはFCチェーン店としての看板やブランド力より、立地で大勢が決まるビジネスです。
(従来のコインランドリーには革新的なサービスや付加価値を提供するチェーン店が現れれば、そうした企業が市場を席巻する可能性は勿論あります。)
そのため、立地選定で成功すればある程度の収益を見込めます。
しかし立地選定で失敗してしまえば、仮にコインランドリービジネス業界では大手と言われるFCに加盟したとしても、それをブランド力でカバーすることはあまり期待できないと考えた方が良いと言えます。
コインランドリーのメンテナンスや管理は思いの外大変である
しかし、コインランドリーに最適の好立地をゲットできたとしても、メンテナンスや管理が悪ければやがて閑古鳥が鳴いてしまうことになります。
コインランドリーは洗濯物を持ち込む施設です。
フロアーや機械の下に綿ゴミがよく落ちているとなれば、近くにキレイなコインランドリーが出来た途端に顧客は奪われてしまうでしょう。
また、釣り銭を良く切らせているようであれば顧客離れを招くだけでなく、機械の稼働率低下も招き、収益率が低下します。
夜間の照明が暗い、セキュリティーに不安があるというコインランドリーも問題外です。
優良FCであればこうしたメンテンナスや管理手法がマニュアル化されており、単独でコインランドリービジネスを行う場合よりは運営が行き届くかも知れません。
が、あくまで何をすべきかがわかっているだけで、オーナーがサボってしまえば結局同じことです。
つまりコインランドリー事業は、一見楽そうに思えますが決してそうではありません。
ほぼ毎日行うべきことがある上、機械の不調が生じれば、深夜でも飛び起きて対応しなければならないこともある、意外にハードなビジネスなのです。
数百万の定期的な出費が必要になる
コインランドリー事業は継続性という点でも、決して投資効率の良いビジネスとは言えません。
客単価が数百円のスモールサイズビジネスですから、できる限り機械の稼働時間を増やし、機械に働いてもらう以外に収益を伸ばす方法がありません。
しかし機械には人間同様寿命があります。
老朽化した機械は頻繁に不具合を起こすようになりますし、また、衛生面や設備の美しさが問われるコインランドリーにおいて、古い機械がずっと並んでいる状況は顧客離れの原因にもなってきます。
それを打開するには、古い機械のメンテナンスや中古機器での入れ替えではなく、最新設備のランドリーに刷新することも避けられません。
つまり、長期的なビジネスとしてコインランドリーに取り組む場合、決して安価とは言えない設備投資を定期的に覚悟しなければならない点もコインランドリービジネスのデメリットと言えます。
コインランドリー事業は、自販機のような投資型ビジネスで運営が簡単、しかもFCだったらノウハウも手に入るので、楽・簡単に成功できる・・・とはならないのです。
程度の差こそあれ、コインランドリー事業である以上、類似した課題やデメリットとの戦いは避けられないとの覚悟や認識が必要です。
少々辛口ですが、コインランドリーのFC加盟を検討されている方々の参考になれば幸いです。