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QBハウスが値上げしても顧客離れが生じなかった理由とは

                      
QB_HOUSE

QBハウスは1200円に値上げも客足は遠のかず

カラーや洗髪などのサービスを行わず、10分1,000円でカットのみのサービスに特化したことで、急成長したヘアカット専門店と言えば「QBハウス」です。

 

ご承知の方も多いかと存じますが、QBハウスは2019年2月より、即ち消費税が8%から10%に更新される前に1,080円だった通常料金を1,200円(シニアは1,100円)の値上げに踏み切ったのですが、値上げ後も客足は遠のかず、好調な売上を維持しています。

 

この理由について、アナリストは立地の良さと顧客の志向として同じ理美容院をリピートする傾向が高いことをあげています。

 

立地についてはそのとおりですが、同じ店舗をリピートする傾向が強いからとの説明は、いささか説得力にかけますね。

 

10分1,000円のヘアカット専門店業界は、参入が相次ぎ、東京や神奈川のターミナル駅や各路線で急行が停まるレベルの駅であれば、駅を起点に半径数百m以内に3~4店舗あるのが当たり前の状況になっています。

 

つまり、QBハウス以外にも同種の選択肢があるにも関わらず、1.200円になってもQBハウスを選びたくなる積極的な理由があるはずです。

 

その理由を考察しましたので、ご紹介することに致します。

 

QBハウスが値上げしても客離れが起きなかった理由その1:「10分」という時間明示と混雑を知らせる色灯

 

QBハウスがヒットした理由として、多くのアナリストは

 

「ヘアカットだけで良いのに十分、洗髪やひげ剃りなど不要なのに、過剰なサービスを受けて割高な料金を理美容院に支払っていると不満を感じていたユーザーニーズを汲み取り、ヘアカットに特化させることで業界の価格破壊を実現したこと」

 

を上げますが、それでは片手落ちの説明です。

 

私がQBハウスを初めて見た際に最も感動したのが、1,000円の料金ではありません。

(カットのみ1200円~1500円の理美容院はチラホラありましたので、正直、それほど料金に対するインパクトは感じませんでした。)

 

私が感動したのは「10分」というヘアカット時間の明示と、グリーン、イエロー、レッドの信号機の色を採用した混雑状況を知らせる色灯です。

 

あの色灯をみた瞬間、このビジネスモデルは絶対に成功すると確信しましたね。

 

QBハウスの成功は、「髪を切りたいのはやまやまだが、何分待たされるかわからないのは困る」というビジネスマンを中心とした、顧客の「時間」に対するニーズを見事に捉えた点にあります。

 

もしQBハウスが「カットだけで良いから安くして」というニーズに応えただけのビジネスモデルだったら、値上げした時点で競合他社に顧客を奪われていたはずです。

 

1,000円だけども何分待たされるかわからない店と、現在10分待ちだとわかるQBハウスなら、この後予定があるサラリーマンや主婦なら迷わずQBハウスを選ぶことになる・・・

 

これが、値上げしても顧客離れが生じなかった大きな理由だと見ています。

 

QBハウスが値上げしても客離れが起きなかった理由その2:「10分」に対するヘアカット技術の高さ

 

QBハウスの競争力の高さで、見落してならないのはヘアカット技術の高さ・・・正確に言えば「10分間」という限られた時間内で顧客の要望に沿ったヘアカットを実現する技術力の高さがあげられます。

 

もしQBハウスが10分・1,000円のヘアカットをどんなに声高にユーザーへ訴えたとしても、カット技術が低かったり、雑だったりするれば、「安かろう悪かろう」の悪いイメージが付いてしまい、現在のような隆盛は実現しなかったはずです。

 

女性の場合は言うまでもありませんが、男性、特にビジネスマンにとっても髪の毛は、身だしなみやその人の印象を大きく左右する重要なパーツです。

 

ただカットしてもらえれば良いという訳ではありません。

 

QBハウスは、まあ1回のカットが1万円を超えるカリスマ美容師のようなスキル水準こそないかも知れませんが、たった10分という世界の中で、顧客の要望にそったヘアカットを実現し、しかもその出来栄えに一定の満足度を提供できてきた高い技術があったからこそ、固定客が付き、現在のような成長を実現できたと言えます。

 

しかもその技術水準が、QBハウスA店とB店が同等であったこも、QBハウスのブランド確立の大きな原動力になったことは言うまでもありません。

 

QBハウスは直営店主体とは言え、れっきとしたフランチャイズチェーン企業でもあります。

 

ヘアカットという重要オペレーションにおいて、フランチャイズチェーンとして「標準化」を果たせていたからこそ成功できたし、それが値上げによる顧客離れを防いだと言って良いでしょう。

 

これこそが、私がこのブログで訴えてきた「オペレーションの標準化」の強みです。

 

今後の課題・自治体の規制や人材確保をどう乗り越えるか

 

ではQBハウスは今後も躍進し続けるだけかというと、そうとも言い切れません。

 

ふたつほど大きな不安材料があります。

 

ひとつは理美容院業界の強い反発を招いた結果、業界を守る目的で洗髪台の設置を義務化する自治体が増加傾向にあること。

 

QBハウスが1,200円の価格であのサービスを提供できるのは、洗髪サービスがないからこそと言っても良く、こうした自治体の動きが加速すれば、出店計画の大幅下方修正に迫られる可能性が出てきます。

 

そうなると、売上増や全国的なブランドの浸透において、大きな足枷となってきます。

 

もうひとつは美容師資格を有する人材の確保。

 

美容師の有資格者が年々減少している上、美容師の職場定着率は決して良いとは言えない中、美容師の有資格者数そもののが年々下降しています。

 

その結果、多くの理美容院が美容師の人材確保に苦しむ状況になっていますので、この問題をQBハウスがどう乗り切るかが、QBハウスの今後の命運を左右することになるでしょう。

 

 

 

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