フランチャイズは本部だけが儲かるのか
フランチャイズは本部だけが儲かる仕組みで、加盟するフランチャイズジーの方は儲からないといった意見は比較的よく聞かれます。
まあ、こうした指摘は加盟者本人が口にされている場合も多いため、説得力があるように世間も思ってしまいます。
私自身も実はスーパーバイザー(以下SV)をやっていた頃、そうした主旨の非難をフランチャイズオーナーから浴びせられた経験があります。
そのとき、私がそのオーナーに語った内容をお伝えします。
このことは本部を経験したからこそ自信をもって言えますが、どれだけ直営店舗だけの方が楽かと思ったことは一度や二度ではないということをお伝えしました。
こんな思いは本来軽々にはフランチャイズオーナー(以後フランチャイジー)の前で口にできることではありませんがね・・・
この点は冷静に計算して頂ければわかります。
ロイヤルティーの計算でわかるフランチャイザー企業の現実
仮に1店舗あたりの平均月商が700万円だったとして、ロイヤルティーが5%と仮定します。
するとその店舗からのロイヤルティーは月額35万円です。
スーパーバイザーが管理する店舗が5店舗だったとしたら
35×5=175万円/月
が5店舗からのロイヤルティー収入となります。
ではスーパーバイザーに給与として月額40万円支払ったとします。
これに社会保険費の会社負担分や退積、賞積だとか、スーパーバイザーの月度活動経費等々を加えたら、だいたい月額でざっくり75万円程度になります。
それを差し引くと残りが約100万円です。
つまりスーパーバイザーの人件費や経費を除くと、本部の取り分は175万ではなく100万となります。
しかもこの計算は、平均月商700万円の店舗を全国で100店舗チェーン展開しているフランチャイズで計算した場合です!
(全店舗の平均月商700万なんて大変優秀な一握りのフランチャイズチェーンですよね。ただ、この数字は大きめにして説明しないと説得力が伴いませんのであくまで仮定の話として読み進めてください)
100店舗で本部の取り分がいくらになるかと言えば5店舗の20倍ですから
100万円×20で月額2千万円です。
一方チェーン店全体の売上規模は月間で7億、年商で84億円にもなります。
年間のチェーン店全体の売上で100億円が目の前という一大フランチャイザー企業の本部が、スーパーバイザーの人件費や活動費を除いて受け取れる額は月間でたった2千万円、年間で2億円4千万円です。
ロイヤルティー収益だけでは赤字の場合も・・・
ここからスーパーバイザー以外の本部職員の給与も支払わなければなりませんし、本社の家賃も支払わなければなりません。
何より新商品の試作や開発といった、必ず成功するとは限らない投資にかなりのお金を注がなければなりません。
こうしてなんとか残った利益の半分が税金でもっていかれます。
如何でしょうか。
フランチャイズは本部だけが儲かる仕組みでしょうか。
コンサルティングを行なっているから良くわかりますが、フランチャイズの本部は「繁盛している直営店」をかなり抱えていなければ、ロイヤルティー収入だけではとても維持できないというケースは決して珍しくはありません。
直営店からもたらされる収益やもし本部が原材料を供給している場合には原材料による収益などがあって、はじめて本体を支えることができます。
事業のFC化を検討している皆様へ
申し上げたいことは、フランチャイズという構造は加盟店より「本部が儲けることの方がはるかに難度が高いビジネスだ」ということです。(悪質なことをやって儲けているケースは別次元の話です)
対象読者が突然変わりますが、事業のフランチャイズ化を目指している経営者の皆様、それでもフランチャイズ化を目指しますか。
自分を犠牲にしてフランチャイジーが儲かるために汗を流し、損を厭わない覚悟ができていますか。
そんな高貴な志をもった経営者の方から事業FC化の依頼を受けた場合には、何が何でも成功して頂けるよう全力で協力致します。