以前アップした「FCの選び方・たった2つの重要ポイント」は大変反響が高く、一気にアクセス数が上昇しました。
それだけ皆様がFC選びに悩まれていること、関心が高いことがよくわかりました。
そこで今回はFC選びのポイントではなく、FC選びの失敗例をご紹介することにします。
ただ、FC選びの失敗パターンは複数あり、一気にお伝えしますと長くなってしまいますので一つずつ回を分けてご紹介するつもりです。
1回目となる今回は
でお伝えした重要ポイントを無視したために失敗した、悲劇的な失敗事例をお伝えします。
目 次
Aさんが選んでいたのは大流行のスイーツ販売店
具体的な事実をすべてそのままお伝えすることはできませんので、部分的に情報を入れ替えると共に、部分的にフィクションも交えてお伝えすることは予めご容赦ください。
私の元へ相談者のAさんが訪ねてこられたのは、いまから約N年前です。
Aさんは50代の男性の方で、当時はサラリーマンでした。
退職金で資金を賄うことを前提に、加盟予定FCの出店エリアを相談したいというのが相談内容でした。
つまりAさんはすでに加盟するフランチャイズを、ほぼ決定していた状態だったのです。
Aさんが加盟を決めていたフランチャイズを仮にBとしましょう。
Bは当時雑誌でも取り上げられ、特に女子高生からの人気が抜群に高かったスイーツを販売しているチェーン店でした。
Aさんは
「Bはものすごく流行っている!
すぐにでも出店したいがどこに出店すれば良いか
迷ってしょうがない。アドバイスして欲しい!」
と興奮気味です。
ご自身の選択には大変自信を持っている様子だったので、私は会話を弾ませるつもりで、こうお尋ねしました。
「AさんはBのスイーツが大好きなんですね」
するとAさんは一瞬怪訝な顔をした後、すぐに笑顔で
「私は女子高生じゃありませんよ。
スイーツよりお酒に合う辛口の料理の方が好きですよ。
どうですか、この後一杯?」
と、言外になんでそんなことを尋ねるんだと言わんばかりの口調で、そう返事されました。
これは深刻だ・・・そう思いましたね。
自分で食べたこともない、それどころか大して好きでもないジャンルの食品を退職金をつぎ込んで販売しようと言うのですから。
FC選びのポイントに基づいて説得するも力及ばず・・・
そこで皆様へお伝えしたことを、Aさんにも丁寧にアドバイスしました。
もちろんAさんのプライドを傷つけないよう、慎重に言葉を選びながら伝えたつもりです。
しかしながら、自分の人生をかけた選択にダメ出しされたことに納得はいかなかったようです。
Aさんは
・Bは大変流行しているチェーン店で駅前の店などは行列もできるほどだ。
・Bは原価率が低いため、抜群の収益率を誇っている。
・他社とも比較したが、こんなに収益率が良いフランチャイズはなかった。
・Bはオペレーションが簡単で、アルバイトの教育もしやすい。
しかも人材不足の飲食業界において
Bなら募集するとすぐに応募者が殺到するので
・人材も確保しやすい
・・・等々、ある意味ではフランチャイズを大変よく研究している方ならではの模範的解答を理由としてあげられていました。
その努力は高く評価できますし、せっかく私を頼ってお越し頂いた訳ですから、誤った選択はして欲しくなかったので懸命に説得を試みました。
が、Aさんは全く聞く耳を持ってくれませんでした。
結局Aさんは頑としてBの加盟にこだわり、
「出店エリアだけアドバイスしてくれば良い。Bへの加盟見直しなど考えるつもりは無い!」
とご自身の考えを貫かれました。
私も間違った前提のままアドバイスはできませんので、お代も頂かずにお引取り願うことにしました。
Bの勢いは失速・・・Aさんは自己破産に追い込まれた
その後です。
Aさんが正式に加盟されたことはメールを頂戴して知りました。
それから更に1年ほど経過したでしょうか・・・
大流行していたBは当時の勢いを完全に失っていました。
本体が倒産した訳ではありませんが、出店していた店舗の多くが閉鎖に追い込まれました。
また、FC店舗は二店舗しかなかったようですが、1店舗は営業を継続できているもののもう1店舗は閉鎖に追い込まれ、その店のオーナーが自己破産したとの話も知ることとなりました。
残念ながらAさんでした。
Aさんがこうした結果になったのも、すべて私自身の力不足であり、自分の未熟さが悔やまれてなりません。
読者の皆様には間違ってもこうした経験だけはして欲しくないと思います。
どうか頭デッカチにならないでください。
知識だけ身に付けて驕ることがないようにしてください。
顧客の立場から、FCが提供しているサービスや商品を愛せるかどうか、真摯に自分へ問うことをどうか忘れないようにしてください。