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分煙か禁煙か・結論が出ていないFCは意外に多い
過日、フランチャイズオーナーの方から、分煙投資に関するご相談を受けました。
このご相談には、正直驚きました。
オーナーの方が店舗に関わる投資で真っ先に相談する相手と言えば、フランチャイザー本部です。
にもかかわらず私へご相談されたのは、そのオーナーが加盟されているFCが分煙・禁煙に対し明確な指針を出していなかったことが、大きな原因だとがわかりました。
分煙・禁煙といったテーマは取り上げるまでもなく、結論が出ているテーマだとの認識がありました。
そのためブログでも記事にしなかったのですが、この一件で反省致しました。
ということで今回は、主に飲食店系の店舗を前提に、FC店舗の分煙・禁煙について述べさせて頂きます。
分煙などという選択は問題外の外
まず飲食店FCは分煙にすべきか、全面禁煙にすべきかについてお答えしますと
「店舗の種類に関係なく分煙化との選択はあり得ない。全面禁煙一択です!」
が私からの回答となります。
このコーナーの見出しはやや刺激的な言い方ですが、分煙など問題外の”外”であり、議論の余地すらありません。
理由を具体的にお伝えします。
理由その1:設備投資やコストの有無
理由その1は設備投資の有無です。
分煙するなら一定の設備投資が必要になります。
一方全面禁煙なら、従業員を通じた顧客対応程度で設備投資が伴いません。
それどころか、灰皿やたばこの吸殻処理、定期的な消臭といった衛生・清掃面でのコスト縮減にもつながります。
本来投資とは(将来に向けて)売上をあげるために、行うものです。
分煙化は今や差別化にすらなりません。
やっても売上の増加を見込めないどころか、周辺に全面禁煙の競合店が開店すればそちらに顧客を奪われ、売上を落とすことになります。
正に無駄な投資となるからです。
理由その2:全面禁煙しても売上は落ちない
全面禁煙反対派の国会議員の方々は
「全面禁煙したら飲食店の客足が遠のき、売上が落ちる」
と懸命に訴えておられましたが、この点は完全に勝負が付いています。
象徴的な事例が、マクドナルドとモスバーガーの明暗ですね。
全面禁煙と分煙対応だけが好調・不調の全ての要因とは申しません。
が、全面禁煙に踏み切ったマクドナルドが復活を遂げ、分煙という中途半端な対応に留まっているモスの売上が下降傾向にある以上、少なくとも、全面禁煙すれば売上が落ちるとの見方は誤りであることは明らかです。
ただ、マックやモスはファーストフードレストランであり、居酒屋など夜系で大人主力の飲食店は、当てはまらないとの指摘もあります。
ところが、こうした指摘にトドメを刺したのが、現在、最も勢いがあるフランチャイズチェーンと言って良い「串カツ 田中」の全面禁煙導入ですね。
ご承知のとおり串カツ田中は居酒屋チェーン店です。
マクドナルドのようなファーストフードレストランと異なり、特に男性サラリーマン層から人気が高いチェーン店だっただけに
「間違いなく売上は下がる!」
と豪語されていたコンサルの先生も、実際おられました。
後出しジャンケンのようになってしまうことがやや不本意ですが、私自身「落ちるはずがない」と「予想」ではなく、「確信」をしていました。
串カツ田中が本当の意味で全国区のチェーン店として確固たる地位を築くには、私のようなオッサンらではなく、ファミリー層も安心して利用できる店にすることは
避けて通れないと見ていたからです。
つまり、愛煙オッサンどもの反発で一時的に客足が遠のき、売上が落ちたとしても、串カツは子供でも食べられる商品です。
ファミリー層の顧客をもっと開拓すれば、その分十分カバーできると睨んでいたからです。
理由その3:従業員の確保にもプラス!
飲食店業界にとって分煙、禁煙問題よりはるかに大きな問題はアルバイト従業員の確保です。
特に女性アルバイト従業員を確保したいなら、全面禁煙は避けて通れないと考えるべきです。
今や成人女性喫煙率が、10%を切っている状況です。
喫煙席での接客も求められる職場が敬遠されるのも、当然と言えます。
かつて、絶対に禁煙などあり得ないと思われていたキャバクラなど水商売の分野ですら、女性ホステスを確保するために、全面禁煙に踏み切る店舗も増加しつつあるのです。
全面禁煙を躊躇するFCはオススメしません
フランチャイズ加盟を検討されている方々へのアドバイスとなりますが、分煙対応か全面禁煙対応かは、加盟先を選ぶ上での有力な判断材料の1つと言えます。
例外的な店舗が多少あっても構いません。
が、飲食店のチェーン店なら、全面禁煙を基本としているチェーン店の方が断然オススメです。
逆に言えば、この点に対して煮え切らない回答しかできないFCはオススメ致しません。
先にあげた理由だけではありません。
社会の波が禁煙と向かっている以上、中途半端な対応をしていたら時代に取り残されるどころか、それが命取りになりかねないからです。
また、すでに全面禁煙としているチェーン店なら冒頭でご紹介したFCオーナーのような悩みに、先々直面する心配もないのです。
以上、皆様の参考になれば幸いです。