カントリーリスクが世界で最も高まっている国が中国
経済と政治は別と言いたいところですが、特に海外で事業展開を行う場合、事業を行っている外国の政治状況やカントリーリスクは決して無視できません。
中でも問題ありの国となっているのは中国です。
まず武漢肺炎の感染状況ですが、中国では北京などでも武漢肺炎の感染が拡大しており、収束したと言える状況にありません。
それに加え、日本に対しては尖閣諸島への継続的な領海侵犯、
国際世論の反発を押し切っての香港の一国二制度の事実上の廃止、
更には南シナ海での行政区設置、
インド国境でのインドとの衝突・・・
など、戦狼外交と呼ばれる傍若無人な外交を行っています。
その結果、米国を中心に中国を経済的に封じ込める動きが顕著になっており、今後ドル資金での決済や他国への物流、他国消費者からの不買等々、重大な支障が生じてくるリスクが高まっています。
更に中国を悩ませているのが自然災害です。
豪雨によるダムの決壊や河川の氾濫が相次ぎ、重大な被害が発生しています。
もっとも、これらの被害が局所的な影響で済むなら過大視する必要はありません。
今にはじまったことではありませんが、世界最大の三峡ダムの決壊が現実味を帯びてきており、万一決壊した場合には下流の約4億人が被災し、中国の損失は経済規模の約40%に達すると想定されています。
万一そうなってしまえば、中国全土で経済的な機能不全が生じ、事業経営者は計り知れない経済損失を被ることになります。
戦時下を除き、これほどカントリーリスクが急激に高まった国の事例を、私は知りません。
中国市場は魅力的だが・・・
中国市場は確かに魅力的です。
インドや南米など今後が期待できる海外市場はありますが、中国を超える規模の市場が登場するかと言われたら、それはないでしょう。
また、世界から反発を招いている中国共産党が政権を失い、民主的な国家に生まれ変わる可能性もあり、そうなれば現在の政治的な摩擦は解消する可能性もあります。
それだけに、今中国から撤退するのは拙速だとの考えも理解はできます。
しかし、その誘惑に負けて中国の事業を継続するのは決して得策ではないのです。

なぜ中国から撤退すべきなのか
なぜ中国から撤退すべきかですが、冒頭で申し上げた決済や物流面での支障が生じる可能性や自然災害だけが理由ではありません。
次の二点が、特にザーとジーの信頼関係が重要になる日本のフランチャイズビジネスにとって致命的と言えるぐらい、大きな問題と言えます。
・法的な不透明さ
中国にも法律はありますが、完全な法治国家とは言えません。
自治体や共産党幹部との人脈などで白黒が変わることが平然と行われており、その点でフェアなビジネスを展開しにくい土壌があります。
特に現地企業とトラブルが生じた場合、こちらに非がなくとも裁判で勝つことがほぼ不可能とも言われています。
政治的なリスクや自然災害が顕在化せずとも、法的に、客観的に権利が守られる補償がない世界でのビジネス継続は、綱渡りでの事業と言って良いでしょう。
・米国でのビジネス展開に大きな支障が生じる可能性
現在中国に対して最も強硬な姿勢を見せているのが米国ですが、中国での事業を継続している場合、それが要因となって米国企業との取引が困難となったり、米国市場での事業展開が困難になるおそれがあります。
いくら中国が魅力的だと言っても、世界一の経済大国は米国です。
加えて米国は法の下の自由や平等が、担保されています。
もし中国と米国のどちらかの市場を選ばなければならなくなった場合、ビジネスを行うならば、自由と法の平等が貫徹されている米国を選ぶべきです。
中国から撤退すれば投資した資金の大半はかえってこないでしょう。
否、却ってこないどころか、撤退するにはかなりの費用負担を強いられるかも知れません。
しかし、少なくとも現況の政治状況が大きく変わらない限り、あまりにリスクが多すぎます。
目の前の利益だけにとらわれず、長期的に安定した事業経営を実現するには、中国に留まるべきではありません。
コンサルタントの視点
フランチャイザーは早急に中国から撤退すべき
目次
カントリーリスクが世界で最も高まっている国が中国
経済と政治は別と言いたいところですが、特に海外で事業展開を行う場合、事業を行っている外国の政治状況やカントリーリスクは決して無視できません。
中でも問題ありの国となっているのは中国です。
まず武漢肺炎の感染状況ですが、中国では北京などでも武漢肺炎の感染が拡大しており、収束したと言える状況にありません。
それに加え、日本に対しては尖閣諸島への継続的な領海侵犯、
国際世論の反発を押し切っての香港の一国二制度の事実上の廃止、
更には南シナ海での行政区設置、
インド国境でのインドとの衝突・・・
など、戦狼外交と呼ばれる傍若無人な外交を行っています。
その結果、米国を中心に中国を経済的に封じ込める動きが顕著になっており、今後ドル資金での決済や他国への物流、他国消費者からの不買等々、重大な支障が生じてくるリスクが高まっています。
更に中国を悩ませているのが自然災害です。
豪雨によるダムの決壊や河川の氾濫が相次ぎ、重大な被害が発生しています。
もっとも、これらの被害が局所的な影響で済むなら過大視する必要はありません。
今にはじまったことではありませんが、世界最大の三峡ダムの決壊が現実味を帯びてきており、万一決壊した場合には下流の約4億人が被災し、中国の損失は経済規模の約40%に達すると想定されています。
万一そうなってしまえば、中国全土で経済的な機能不全が生じ、事業経営者は計り知れない経済損失を被ることになります。
戦時下を除き、これほどカントリーリスクが急激に高まった国の事例を、私は知りません。
中国市場は魅力的だが・・・
中国市場は確かに魅力的です。
インドや南米など今後が期待できる海外市場はありますが、中国を超える規模の市場が登場するかと言われたら、それはないでしょう。
また、世界から反発を招いている中国共産党が政権を失い、民主的な国家に生まれ変わる可能性もあり、そうなれば現在の政治的な摩擦は解消する可能性もあります。
それだけに、今中国から撤退するのは拙速だとの考えも理解はできます。
しかし、その誘惑に負けて中国の事業を継続するのは決して得策ではないのです。
なぜ中国から撤退すべきなのか
なぜ中国から撤退すべきかですが、冒頭で申し上げた決済や物流面での支障が生じる可能性や自然災害だけが理由ではありません。
次の二点が、特にザーとジーの信頼関係が重要になる日本のフランチャイズビジネスにとって致命的と言えるぐらい、大きな問題と言えます。
・法的な不透明さ
中国にも法律はありますが、完全な法治国家とは言えません。
自治体や共産党幹部との人脈などで白黒が変わることが平然と行われており、その点でフェアなビジネスを展開しにくい土壌があります。
特に現地企業とトラブルが生じた場合、こちらに非がなくとも裁判で勝つことがほぼ不可能とも言われています。
政治的なリスクや自然災害が顕在化せずとも、法的に、客観的に権利が守られる補償がない世界でのビジネス継続は、綱渡りでの事業と言って良いでしょう。
・米国でのビジネス展開に大きな支障が生じる可能性
現在中国に対して最も強硬な姿勢を見せているのが米国ですが、中国での事業を継続している場合、それが要因となって米国企業との取引が困難となったり、米国市場での事業展開が困難になるおそれがあります。
いくら中国が魅力的だと言っても、世界一の経済大国は米国です。
加えて米国は法の下の自由や平等が、担保されています。
もし中国と米国のどちらかの市場を選ばなければならなくなった場合、ビジネスを行うならば、自由と法の平等が貫徹されている米国を選ぶべきです。
中国から撤退すれば投資した資金の大半はかえってこないでしょう。
否、却ってこないどころか、撤退するにはかなりの費用負担を強いられるかも知れません。
しかし、少なくとも現況の政治状況が大きく変わらない限り、あまりにリスクが多すぎます。
目の前の利益だけにとらわれず、長期的に安定した事業経営を実現するには、中国に留まるべきではありません。
-コンサルタントの視点
-フランチャイズ 中国 撤退
執筆者:フランチャイズという選択
関連記事
QBハウスが値上げしても顧客離れが生じなかった理由とは
目次1 QBハウスは1200円に値上げも客足は遠のかず2 QBハウスが値上げしても客離れが起きなかった理由その1:「10分」という時間明示と混雑を知らせる色灯3 QBハウスが値上げしても客離れが起きな …
適用否認?!ファミマには呆れてものが言えない
ファミマが800人の早期希望退職者を募ったところ、1500人近くもの応募が殺到! これに大慌てした経営陣が打ち出したのが「適用否認」です。 要は早期退職に応募しても「早期退職金」の支払い適用を一定数否 …
緊急告知!宛先間違いの請求書はランサムウエア!
今回の記事はフランチャイズではなく、ランサムウエアに関する話題です。 幸いなことに私は一歩手前で気付けたので、ランサウエアに感染し、身代金を要求されることにならずに済みました。 &nbs …
免税事業者には本当に益税が生じているか?
先回の記事で、私はインボイス制に反対を表明しましたが、 「免税事業者は消費税をちゃんと納めてない。ケシカラン!」 といった「反対に対する反対意見」を頂戴しました。 こうした世論を増大させることが財務省 …
ドミナント戦略の限界に気付けない哀れなコンビニ本部
目次1 コンビニオーナー苦しめるドミナント戦略という害悪2 ドミナント戦略による成功体験と数字による呪縛3 ドミナント戦略はオーナーの生活を脅かしている コンビニオーナー苦しめるドミナント戦略という害 …