2025年問題は、フランチャイズ業界だけで解決できる問題でないことは確かです。
しかし、だからと言って、何も対策を打たなければ、フランチャイズ業界はザーもジーも共に苦境に陥ってしまい、最悪、倒産という憂き目に遭遇するかも知れません。
2025年問題が迫る中、フランチャイズ業界はどう対処すべきか、その処方箋を提言致します。
2025年問題とは?
まず2025年問題の正体から確認しておきましょう。
2025年問題とは団塊世代が後期高齢者になることと、就職氷河期にあたってしまい、正社員になれなかった団塊世代のジュニア世代が50代に突入することで生じる、社会的な危機のことです。
現在年代別人口で大きなボリュームとなっているのが、高齢者となっている団塊の世代です。
今度は更にその世代が後期高齢者になることにより、年金以外で医療費や介護費といった社会保障費が149兆円に膨れ上がると試算されています。
また、就職氷河期時代に正規社員になれなかった団塊世代のジュニア達は、派遣やアルバイトの非正規雇用でなんとか食いつないでいたものの、有期雇用のため、職場を失いやすい上、正社員はおろか、50代となれば派遣やアルバイトの求人自体が急減するため、生活保護を受けなければ生活できなくなる人が激増すると言われています。
こうした社会保障費の激増は現役世代か、国の財政でカバーするしかありません。
しかしながら少子化により労働人口は減少の一途を辿っており、現役世代のカバーだけで賄えるものではなく、かと言って社会保険料で賄おうと保険料を大幅値上げするには企業も個人も限界があります。
つまり、2025年問題は「課題」ではなく、簡単に解決できない「社会問題」であり、とりわけ日本経済に対するダメージは計り知れないのです。
フランチャイズ業界が直視しなければならないのはもうひとつの2025年問題
2025年問題と言えば、先述のとおり後期高齢者人口激増により社会保障制度の財源問題ばかりがクローズアップされがちです。
が、2025年問題には、日本の産業基盤を直撃する重大な問題がもう一つあります。
それは、2025年に迎える日本企業の大廃業問題です。
中小企業の後継者不足問題はすでに表面化していましたが、団塊世代の社長が後期高齢を迎えることで、泣く泣く廃業に踏み切るケースが2025年に激増すると見られています。
推計値はなんと127万社。
それによって喪失するGDPは22兆円。
また企業が廃業することによって、650万人もの雇用が失われると推計されています。
社会保障費問題も企業経営に何らかの影響が生じますが、こちらの2025年問題は皆様が
「安い、早い、小回りが利く」
等の理由から便利に使っていた中小企業の取引先の消につながります。
そうなれば、割高、不便等を我慢して新たな取引先を確保しない限り、事業が回らなくなる事態に陥りかねません。
つまり、2025年問題は社会保障費の問題だけではないのです。
フランチャイザーまたはフランチャイジーの企業経営に直結する大廃業問題も内包しており、この問題から決して目を背けるべきではありません。
サテライトサービスを模索すべき
では2025年問題を前に、各フランチャイズチェーンはどうするべきなのか。
2025年問題を見据えた提言は、実は当ブログですでにいくつか提言を行っています。
例えば50代、60代のフランチャイズ加盟者枠の検討や、資金力が乏しい個人の方の加盟制度の整備などです。
これは、2025年に50代を迎える団塊世代ジュニアや大廃業によって職場を失う方々が増加することを意識した提言です。
この世代は有能なのに就職氷河期という不遇の時代にあたってしまったため、非正規雇用で苦しんでいる人材がたくさんいます。
資金面の問題を解決できれば、この世代から優秀なFCオーナーを獲得できるチャンスにもなるからです。
また海外進出もそうです。
フランチャイザーは、日本の市場規模縮減にただ手をこまねいているだけではいけません。
2025年に日本市場が悪化することは避けられない以上、海外進出などは今から手を打っておくべきです。
また、これらに加えてもうひとつ提言したいのは、規模の拡大ばかりを目指すのをやめ、業態のサテライト化による個店のダウンサイジング化を図ることです。
個店あたりの売上は、低下するかも知れません。
要は低い売上でも高収益を出せる、小さけれども筋肉質なフランチャイジー形態をめざすべきとの提言です。
実現できる業種業態は限られますが、現在の規模が例えば30坪の店舗が標準なら、その1/3の10坪程度で提供できるサービスや、場合によっては駐車場などで開店でききる移動式店舗も検討する必要があります。
一例として「ガイアの夜明け」で紹介された「ナポリの窯」の徳島中央店のケースがモデルケースとして上げられます。
同例は徳島中央店の店長のワンオペがクローズアップされ、放送直後炎上騒ぎも招きましたがが、ひとつの解決策として決して間違っているとは思いません。
どのような形態であれ、新形態に取り組めば何らかのデメリットや課題は生じます。
それらを拾い上げ、ひとつずつ克服することが、フランチャイズビジネスに限らず、新規事業を軌道に乗せる上で避けられないプロセスです。
2025年問題は、リーマンショック以上の経済的ダメージを日本に与える可能性があります。
しかも、一時的なダメージではなく、2025年を境にそのダメージがずっと引き継がれ、状況次第では、拡大してしまうおそれすらあります。
つまり、現況の延長線上だけで考えるのではなく、抜本的な転換も視野に入れた大胆な対策の検討がフランチャイズチェーン各企業に求められているのです。
コンサルタントの視点
FC業界はもうひとつの2025年問題に目を背けるな!
2025年問題は、フランチャイズ業界だけで解決できる問題でないことは確かです。
しかし、だからと言って、何も対策を打たなければ、フランチャイズ業界はザーもジーも共に苦境に陥ってしまい、最悪、倒産という憂き目に遭遇するかも知れません。
2025年問題が迫る中、フランチャイズ業界はどう対処すべきか、その処方箋を提言致します。
目 次
2025年問題とは?
まず2025年問題の正体から確認しておきましょう。
2025年問題とは団塊世代が後期高齢者になることと、就職氷河期にあたってしまい、正社員になれなかった団塊世代のジュニア世代が50代に突入することで生じる、社会的な危機のことです。
現在年代別人口で大きなボリュームとなっているのが、高齢者となっている団塊の世代です。
今度は更にその世代が後期高齢者になることにより、年金以外で医療費や介護費といった社会保障費が149兆円に膨れ上がると試算されています。
また、就職氷河期時代に正規社員になれなかった団塊世代のジュニア達は、派遣やアルバイトの非正規雇用でなんとか食いつないでいたものの、有期雇用のため、職場を失いやすい上、正社員はおろか、50代となれば派遣やアルバイトの求人自体が急減するため、生活保護を受けなければ生活できなくなる人が激増すると言われています。
こうした社会保障費の激増は現役世代か、国の財政でカバーするしかありません。
しかしながら少子化により労働人口は減少の一途を辿っており、現役世代のカバーだけで賄えるものではなく、かと言って社会保険料で賄おうと保険料を大幅値上げするには企業も個人も限界があります。
つまり、2025年問題は「課題」ではなく、簡単に解決できない「社会問題」であり、とりわけ日本経済に対するダメージは計り知れないのです。
フランチャイズ業界が直視しなければならないのはもうひとつの2025年問題
2025年問題と言えば、先述のとおり後期高齢者人口激増により社会保障制度の財源問題ばかりがクローズアップされがちです。
が、2025年問題には、日本の産業基盤を直撃する重大な問題がもう一つあります。
それは、2025年に迎える日本企業の大廃業問題です。
中小企業の後継者不足問題はすでに表面化していましたが、団塊世代の社長が後期高齢を迎えることで、泣く泣く廃業に踏み切るケースが2025年に激増すると見られています。
推計値はなんと127万社。
それによって喪失するGDPは22兆円。
また企業が廃業することによって、650万人もの雇用が失われると推計されています。
社会保障費問題も企業経営に何らかの影響が生じますが、こちらの2025年問題は皆様が
「安い、早い、小回りが利く」
等の理由から便利に使っていた中小企業の取引先の消につながります。
そうなれば、割高、不便等を我慢して新たな取引先を確保しない限り、事業が回らなくなる事態に陥りかねません。
つまり、2025年問題は社会保障費の問題だけではないのです。
フランチャイザーまたはフランチャイジーの企業経営に直結する大廃業問題も内包しており、この問題から決して目を背けるべきではありません。
サテライトサービスを模索すべき
では2025年問題を前に、各フランチャイズチェーンはどうするべきなのか。
2025年問題を見据えた提言は、実は当ブログですでにいくつか提言を行っています。
例えば50代、60代のフランチャイズ加盟者枠の検討や、資金力が乏しい個人の方の加盟制度の整備などです。
これは、2025年に50代を迎える団塊世代ジュニアや大廃業によって職場を失う方々が増加することを意識した提言です。
この世代は有能なのに就職氷河期という不遇の時代にあたってしまったため、非正規雇用で苦しんでいる人材がたくさんいます。
資金面の問題を解決できれば、この世代から優秀なFCオーナーを獲得できるチャンスにもなるからです。
また海外進出もそうです。
フランチャイザーは、日本の市場規模縮減にただ手をこまねいているだけではいけません。
2025年に日本市場が悪化することは避けられない以上、海外進出などは今から手を打っておくべきです。
また、これらに加えてもうひとつ提言したいのは、規模の拡大ばかりを目指すのをやめ、業態のサテライト化による個店のダウンサイジング化を図ることです。
個店あたりの売上は、低下するかも知れません。
要は低い売上でも高収益を出せる、小さけれども筋肉質なフランチャイジー形態をめざすべきとの提言です。
実現できる業種業態は限られますが、現在の規模が例えば30坪の店舗が標準なら、その1/3の10坪程度で提供できるサービスや、場合によっては駐車場などで開店でききる移動式店舗も検討する必要があります。
一例として「ガイアの夜明け」で紹介された「ナポリの窯」の徳島中央店のケースがモデルケースとして上げられます。
同例は徳島中央店の店長のワンオペがクローズアップされ、放送直後炎上騒ぎも招きましたがが、ひとつの解決策として決して間違っているとは思いません。
どのような形態であれ、新形態に取り組めば何らかのデメリットや課題は生じます。
それらを拾い上げ、ひとつずつ克服することが、フランチャイズビジネスに限らず、新規事業を軌道に乗せる上で避けられないプロセスです。
2025年問題は、リーマンショック以上の経済的ダメージを日本に与える可能性があります。
しかも、一時的なダメージではなく、2025年を境にそのダメージがずっと引き継がれ、状況次第では、拡大してしまうおそれすらあります。
つまり、現況の延長線上だけで考えるのではなく、抜本的な転換も視野に入れた大胆な対策の検討がフランチャイズチェーン各企業に求められているのです。
-コンサルタントの視点
-2025年問題, FC, 解決策
執筆者:フランチャイズという選択
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