フランチャイズビジネスを検討する上で、ビジネスモデルの次に大事でありながら、理解に苦労するのがFC加盟契約書ですね。
加盟契約書は、フランチャイザーとジーの関係や役割、どこまで何を互いに遵守するかを定義する重要な文書です。
加盟契約書に記載されている責任や権利の効力を正確に理解することは、特に加盟でのトラブル防止において不可欠と言えます。
加盟契約書を正しく理解するためのポイントについてご紹介しましょう。
目 次
加盟契約書にはそもそも何が書かれているのか
FC加盟契約書にはそもそも何が書かれているのか、まずはその点をおさえておきましょう。
加盟契約書には
1 フランチャイジー加盟者の責任や義務
2 加盟店としての営業上の責任や義務
3 フランチャイザーからの支援内容
4 商標権や商号の利用権、営業地域に関する規則
5 加盟金、保証金、研修費、ロイヤルティその他金銭上の取引に関する規則
6 契約期間や延長、解除に関する規則
およそこのような内容が書かれていますが、これらは「中小小売商業振興法施行規則」にほぼもとづいた内容とも言えます。
さて、この点が少々ややこしく感じられる点ですが
「中小小売商業振興法施行規則」と「加盟契約書」は何がどう異なるの?」
という疑問が湧いてくると思いますので、その点をご説明しましょう。
中小小売商業振興法施行規則は契約前に事前チェックできる契約概要です!
中小小売商業振興法施行規則は、要はフランチャイジーとして加盟を検討されている皆様をトラブルから守るための規則と言えます。
FC加盟契約書の内容はフランチャイザーにとって重要機密情報であり、一種のノウハウでもあります。
加盟するかどうかわからない方においそれと「持ち帰って検討してください」と提供することはできません。
しかし、加盟する側にしてみればそうした情報がないと具体的な検討や意思決定が行えない面がある訳です。
そこで”加盟契約締結前に”しっかりと読んで、契約しても問題ないかを検討するための提供を義務付けた”規則説明書”いわば契約書のダイジェスト版のようなものです。
で、上述の見出しでお伝えしたFC加盟契約書に書かれている内容は、中小小売商業振興法上事前に加盟候補者へ提供することが”義務(ただし小売業の場合)”となってます。
仮に小売業でなくともこれを拒むようなフランチャイザーであれば、加盟はおすすめできません。
つまり!
加盟契約書を正しく理解するためのポイントは、実は契約書にあるのではなく、加盟前に持ち帰ってじっくりと検討できるこの施行規則の読み込みにあるということです。
加盟契約書は法律上の用語なども使用されている上、何より条項が多いのでそれをいきなり理解しようとすると骨が折れます。
規則でしっかりと予習することが、加盟契約内容を理解する上での最大ポイントであり、契約条件でのトラブルを回避する上でのファーストステップとも言えるのです。
ただし秘密保持契約(NDA)締結が開示の条件は適切
最も加盟契約前に情報開示することがルールとなってはいるものの、具体的なタイミングがそれほど詳細に規定されている訳でもありません。
内容上、契約書そのものと言ってもよいので、フランチャイザー側が開示に慎重な場合もあります。
(その一方、加盟検討者向け資料として加盟契約書を最初から提供するフランチャイザーもいますが、決して珍しいとは言えません)
この点をクリアする方法として、フランチャイザー側は身分証明書の写しと共に秘密保持契約(NDA)の締結を規則提示前に求めるなどの方法をとってます。
こうした要望は決して過剰とは言えませんので、検討するお考えがあるなら、NDA締結には応じて良いでしょう。
ただし!NDAの中身をしっかりと読み、不明な点があれば必ず質問をしてNDA自体も詳細な確認が必要であることは言うまでもありません。
加盟契約書でのチェックポイント:施行規則と契約書の照合
施行規則を通じてしっかり予習ができたなら、いよいよ加盟契約書のチェックとなりますが、自ずとポイントはおわかりになったと思います。
そうです。大切なことは、施行規則と加盟契約書に相違点や乖離がないかのチェックです。
例えば施行規則ではロイヤルティが「5%」と書かれていたが、加盟契約書では「10%」になっている・・・
なんてことは法律上許されていません。
しかしながら、性善説にたつのではなく性悪説にたって、規則と加盟契約書の条項に相違点や乖離がないか、しっかりチェックしてください。
また検証作業をする上で、契約者双方で読み合わせが大事であることは言うまでもありません。
これを怠るフランチャイザーであれば、契約を見合わせましょう。
施行規則以外のポイントして
施行規則以外のポイントとして、次の4つをあげさせて頂きます。
- 加盟金の合理性:加盟金は契約自由があるとは言え、一定の合理性が求められます。合理的説明は契約書には通常書かれていませんが、合理性や対価についてフランチャイザー側に説明を求めてみましょう。
- 商標の範囲:商標の利用期間、利用できる範囲が明確になっているか、具体的になっているか、自身で迷いわないかを基準にチェックしてみてください。
- 加盟者として許される領域:経営上どこまで自由に加盟者が判断して経営に取り組めるか、細部までは契約書に書かれていないかも知れませんがやはり確認事項として重要です。それを確認した結果「これこれはして良い」となった場合、口約束だけでは心もとないです。契約書に含めてもらうか、「確認合意書」として文書化し、双方で共有することを担保しましょう。
- 解約の条件とペナルティ:FC加盟契約を解除する場合の条件も、後々揉めることになるテーマです。特に解約に伴いペナルティが発生するケースについては自身で理解、納得できるかをよく吟味してください。
ロイヤーチェックがやはり望ましい
FC加盟契約書は万一裁判になった場合でも、どちらかと言えばフランチャイザー側が不利益が及ばないよう有利に解釈される表現が散りばめられています。
法律上の専門用語も登場しますので、法律に詳しくない方がすべての条項を正しく理解するのは難しい側面があります。
やはり弁護士にチェックしてもらった方が安心です。
もし「コスト」が気になる方は法テラスを活用したり、自治体が行っている法律相談サービスを利用したりするのが一案です。
その際、自身が不明な点のみをピックアップし、何がどうわからないのか、あるいは自分はこう解釈したがそれで正しいか、質問を具体化した上で利用すると、限られた時間を有効に使えます。
とは言え、それではまだ安心できないという方はフランチャイズビジネス係争に強みを有する弁護士事務所を探し、契約書を見てもらいましょう。
相場観としては概ね5万円程度です。