武漢肺炎の影響により、フランチャイズビジネス、とりわけイートイン型の飲食FCは存亡の危機にあると言っても過言ではありません。
ではこの難局を乗り切るにはどうすれば良いか?
FCコンサルの専門家として、店舗型飲食系のフランチャイザー企業に対し、未曾有の危機を乗り切る処方箋を提言させて頂きます。
目 次
冷静な環境認識が難局を乗り切る第一歩
まずフランチャイザー企業に求められることは、今後の経営環境を冷静に見極めることです。
このように指摘すると
「お前には武漢肺炎(発生源を他国になすり付けようとしている中国共産党への抗議の意味で、新型コロナとは呼称しません)がいつ収束するのかわかるのか?」
との反論を頂きますが、それに対し、私は堂々と「わかりません」と回答致します。
未知のウイルスとの戦いである以上、現時点では「収束時期は誰もわからない」が唯一の答えになるはずです。
つまり、「いつ収束するか誰もわからない」と認識することが今後に対するもっとも正しい環境認識と言えます。
「○月までに収束するだろう」といった甘い見通しにもとづいて対策をたてるなど、もってのほかです。
「わからない」との前提に立った上で、長期化しても耐え得る対策を立案することが、フランチャイザーに求められていることです。
「ユニバーサルデザイン」的発想に難局を乗り切るヒントがある
ユニバーサルデザインとは障害者の方専用と区切るのではなく、障害者の方も健常者の方も快適に利用できる建築設備のことを言いますが、このユニバーサルデザイン的な発想こそが、難局を乗り切る大きなヒントになります。
もし現状の店舗運営システムや店舗環境のまま運営すれば、クラスターの原因になり得るという場合、現状のシステムや店舗環境のまま再開を待つことは正しい選択とは言えません。
収束することだけを期待する「神頼み」の経営であり、収束が長期化してしまえば残された道は「破綻」のみとなってしまいます。
そこで、収束しない可能性も踏まえ、これを期に現状の運営システムや店舗環境を、ウイルス感染が起きにくい運営システムや環境に作り変え、「準標準化」させることを提言します。
準標準化とは、一部の仕組みやオペレーションは武漢肺炎の収束云々に関係なく恒久的に実施し続けるという意味です。
そうすれば武漢肺炎に限らず、今後新たなウイルス感染が発生してもそれらに翻弄されにくい、強固なフランチャイズシステムへと生まれ変わることができます。
ポイント1:3密回避とアクリルパーテーション
では運営システムや店舗環境を具体的にどう転換させれば良いかですが、まずは基本となるのが「3密回避」です。
経営的に成り立つことを最低条件として、店舗内が密集状況にならないようお客様の入場数をコントロールすると共に、社会的距離を確保した席への誘導は必須と言えます。
すでに一部の飲食店では席が隣り合わないようカウンター席は一人分ずつあけて着席させたり、可動式テーブルについては数自体を減らすといった対策が実施されていますが、これらは最低限必要な措置です。
もっとも、来店されるお客様が全て「お一人様」であればそうしたコントロールは比較的容易ですが、二人以上のグループでお客様が来店された場合、特に小さなお子様がいるファミリーのお客様となると、それぞれ離れて座って頂くことは現実的対策とは言えません。
(追記:政府は対面での飲食を自粛するよう求めていますので、複数客の来店であっても社会的距離を保って着席して頂くのが最も望ましい対応です。)
この場合の解決策として「お一人様」のお客様だけに入場を限定し、複数での来店客をお断りする方法がありますが、ファミリー客を主力の顧客層としていたFCチェーンにとってはそうもいかないでしょう。
そこでご提案したいのが、「アクリルパーテーション」の設置です。
参考画像として、youtubeからの動画キャプションをご紹介しておきますが、このような卓上式のアクリルパーテーションで、画像よりもう少し小型なものをテーブルの中央に配置すれば、向かい合って座ったお客様同士が互いの飛沫で感染するのを防げます。
https://www.youtube.com/watch?v=llPe_gBNwrM
この案を提示したところ、「役所や銀行の窓口で話をしているようだ」「お客様が嫌がるのでは」「興ざめする」との意見もあります。
が、ヒトヒト感染の大敵は、ヒトが話す際に口から大量に放出される飛沫です。
マスクをしない状態で向き合って話す以上、そこに遮蔽するものがない限り、飛沫の直撃を避けることはできません。
悲しいかな、武漢肺炎は私達の食事のスタイルまで変えてしまうほど、おそろしく厄介な存在です。
従来の快適なスタイルだけにこだわっていては、感染の恐怖から逃れることはできないのです。
多少違和感があったとしても、どうしても向かい合って話をしながら食事をすることを希望されるなら、必要な措置としてお客様へ丁寧に説明し、アクリルパーテーションの設置に理解を求めるべきと言えます。
ポイント2:給排気+除菌
店舗内で3密を回避できても、これだけで十分だとは言えません。
感染したお客様が入店し、店内で言葉を発すればウイルスを含んだ飛沫が放出し、店舗内が一時的に汚染された状態になります。
また、感染していなくとも、手に武漢肺炎ウイルスが付着したお客様がたった一人でも来店すれば、そのお客様が触れたものにウイルスが付着し、それに触れた他のお客様や従業員にウイルスが付着するおそれがあります。
これらに対抗するには、定期的な(理想的には15分に一度程度)店舗内の除菌が必要となります。
つまり除菌作業を店舗運営の常時オペレーションに組み込むことです。
次に必要なのは換気です。
開放感が高い、半アウトドアのような店舗ならまだしも、空間を遮る一般店舗の場合、自然換気だけでは十分とは言えません。
機械力を利用して強制的に給排気を24時間行うことが必要です。
そうした設備がない場合には新たに設備を導入して頂く必要がありますので、当然コストが発生します。
しかしながら、負担を嫌って窓開けによる自然換気だけに頼っていては、感染の恐怖は解消しません。
また、ウイルス感染に関係なく飲食店舗の給排気はとても大切ですので、必要な投資と考え、真摯に取り組んで頂きたいと願います。
ポイント3:お客様の選別
政府や自治体の長が緊急事態をどんなに宣言しても、危機意識が乏しく、周囲への配慮にも欠ける国民は一定数存在します。
そのような無配慮な方を顧客として店舗に入れることは、他の善良なお客様やフランチャイジー従業員の方々を感染リスクに晒すことになります。
従って、入店するお客様の選別を行うことも避けて通れない大切な取組です。
ではどのような基準で選別すべきかですが、最もシンプルで効果的、且つ公平な基準は
「マスクを着用されているか」
です。
マスクを常時着用されているお客様は咳エチケットを理解している方であり、感染予防に対する意識も高いと判断できるからです。
どうせ食事するときにマスクを外すのだからと、飲食店を利用する場合は最初からマスクをしないという方もいますが、危機意識が乏しいと言わざるを得ません。
他のお客様や店舗従業員を守るためにも、マスクを着用していないお客様は当面入店をお断りすることを強くオススメ致します。
以上が転換のポイントですが、状況に応じて店舗環境や運営のあり方を柔軟に変化させること、今までの定石や常識だけに囚われないことが大切であり、先行きがみえない危機的状況を乗り越える上で必要と言えます。
本記事を参考に、どうか難局を乗り切ってください。