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やよい軒おかわり有料化はなぜ炎上を招いたか

                      
引用: ウィキペディア

定食分野で今やあの大戸屋を抜き去り、トップに躍り出たFCといえばプレナス社の「やよい軒」ですが、やよい軒のごはんおかわり有料化が物議を醸しています。

 

正確には、ごはんのおかわり有料化が問題になったのではなく、その「理由」が炎上を招く要因となったのですが、顧客への配慮が理由だったにもかかわらず、なぜやよい軒の対応(”プレナス社の対応”と言うべきところですが、わかりやすさを重視し、以後「やよい軒」とします)は顧客や世間から批判を浴びてしまったのか。

 

私なりの考察を本記事で紹介します。

 

批判を招いた理由には3つの要因が潜んでいる

 

やよい軒が2019年4月より、一部店舗ながら実験的にごはんおかわりの有料化に踏み切りましたが、冒頭でお伝えしたとおり、有料化そのものが批判を浴びた訳ではありません。

 

やよい軒が有料化に踏み切った理由ですが、同社は

 

「一部の顧客から、ごはんをおかわりしていないのに料金が同じなのは不公平との意見があり、その意見に配慮した」

 

といった内容を有料化の理由として公表していました。

 

この理由が世間から反感を買ってしまった訳です。

 

この件について多くのメディアは

 

「「値上げを一部の顧客のせいにしている」との批判が殺到した」

 

といった伝え方をしています。

 

代表的な批判の声としては確かにそのとおりなのですが、この批判の裏側には、更に3つの要因が潜んでいます。

 

①:少数意見が本当に存在しているのかとの疑念

 

ひとつは

 

「一部であってもそのような声が本当にあるのか」

 

という強い疑念というか、納得感のなさです。

 

「おかわり自由」というサービスは、別にやよい軒の専売特許ではありません。

 

飲食業界で幅広く定着しているポピュラーなサービス、というのが世間一般の認識となっています。

 

おかわり自由はごはん以外にも、例えばサラダ、スープ、コーヒー、ラーメンの麺だとか様々なものがありますし、回転寿司店の「がり」や牛丼店の「紅しょうが」だって原材料が発生していますので、立派な「おかわり自由」のサービスです。

 

つまり昔から当たり前のように行われてきたサービスであり、不公平だの何だのといまさら難癖を付ける人が本当にいるのか、信じられないというのが、世間一般の見方です。

 

実際、批判の声には「値上げをしたい本音を隠すための詭弁だ」といった声もあり、不公平だとの声があること自体、信頼されていないことが伺えます。

 

やよい軒側の発表はおそらく「事実」だったのでしょうが、「事実」であっても世間が理解、納得できる「情報」になっていなければ、今回のように問題化してしまう、悪い事例ながら多くのフランチャイザーにとって大変勉強になる例だと思いました。

 

②:不公平解消が別の不公平を招いた

 

ふたつめは「不公平感を解消する」との狙いが、別の不公平を招いたこと。

 

この点はぜひフランチャイザー企業、FCオーナー共に真摯に耳を傾けて頂きたい点ですが、世間と言いますか、一般顧客の心理には

 

「自分と同じような不満を感じている人が少数派であれば、企業は耳を傾けてくれない」

 

との”あきらめ”の心理が、潜在的に刷り込まれてしまっていることを理解しておく必要があります。

 

ネットを通じた顧客自身による商品レビューが普及した現在、顧客はそれらに目を通すことで、自分が感じている不満がどれくらいあるのかも、感覚的に掴めるようになってきました。

 

炎上という現象が生じるのも、実はこうした顧客心理が背景にあると言われています。

 

いつもは無視されるだけの自分の不満に対して同調者が多いと見るや、それに乗じてたたみ込むように追撃したくなるのも、「何を言っても(少数意見であれば)自分の意見は反映されない」との不満が深層的に燻っているからだそうです。

 

つまり今回のやよい軒の対応は、日頃は無視している「少数派の意見」を突如採用した格好になってしまったため、世間に対し

 

「(いつも無視しているくせに)なぜその少数意見だけは取り上げたのか」

 

との強い不公平感も与える結果ともなりました。

 

やよい軒としては「少数の意見にもちゃんと耳を傾ける会社です」との絶好のPRにもなるとの考えがあったかも知れません。

 

ところが、別の不公平を招くという実に皮肉な状況を招いてしまった訳です。

 

③:対応策は少数意見の不満の解消にもなっていない

 

みっつめは、そうした不満を感じた一部の人々にとっても、不満の解消になっていないこと。

 

おかわりについて不公平だと感じている方の意見を翻訳すれば

 

「定食の料金にはおかわり自由の料金も含まれている。その分まで、おかわりしてない人が負担するのはおかしい」

 

となります。

 

要は、値上げや別料金にすることを求めたのではなく、おかわりしてない人にはその分の料金を差し引いて欲しいという「値下げ」が改善要望だったと言えます。

 

ところが今回の措置はおかわりしない人にとっても料金は変わりませんので、少数派の方々にとっても何ら改善策にならなかった訳です。

 

やよい軒に求められることとは

 

では今後やよい軒はどうすべきかですが、有料化”実験”は一旦5月末日に打ち切られたようですが、これで「終結」とはなりません。

 

もし有料化した理由が本当に「一部の顧客への配慮」であり、原材料費や人件費高騰といった経営的事情でないなら、有料化などそれこそ「時期未定」で見送るべきと考えます。

 

また、有料化の中止だけでなく、今回の批判に対する対応も求められます。

 

やよい軒としても、多々言い分はあるかも知れません。

 

が、世間の批判に対する反論や釈明など百害あって一利なしですので、そのようなことはせず、批判の声に真摯に耳を傾け、その声に応えること、批判を浴びた事項については率直にお詫びすることも必要です。

 

果たしてそうした対応を、やよい軒が取り組めるかどうか。

 

こうした世間の批判を浴びた場面こそ、企業の真価が問われます。

 

FCオーナーを守らなければならないフランチャイザー企業としてどう振る舞うのか、やよい軒の今後の対応をじっくりと注視するつもりです。

 

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